そこが知りたい 2019(平成31)年5月号

「頭が良くなる薬」個人による輸入が規制へ

“頭が良くなる薬”,こんな夢のような名前で呼ばれる製品が販売されているのをご存知でしょうか?

 「集中力を高める」や「頭がスッキリする」など,脳の機能等を高めることを標ぼうして海外で販売されている医薬品やサプリメント等の食品の総称を“スマートドラッグ”と呼び,国内販売だけではなく,インターネットを介し,海外製品の個人輸入が行われてきた。スマートドラッグは,広義ではサプリメントや健康食品を含み,現在でも多数の製品。が販売されており,購入可能である。

 しかし,スマートドラッグの一部は,国内外で医療用医薬品として使用されている(または使用されていた)成分を含有するが,大部分は適応も含めて国内で未承認の医薬品であり,その品質・有効性・安全性は確認されていない。また,保護者が児童・生徒に服用させる事例があると報道されており,児童・生徒における心身の正常な発達を妨げ,継続的な乱用や他の薬物への乱用に繋がるおそれがある。そして,個人輸入による健康被害が国民生活セン ターへ報告されているなど,多くの問題点を有するものである。

 こうした状況の中,厚生労働省は,インターネット上の日本人向けの海外販売サイトで販売されている製品が標ぼうしている効能・効果や含有成分の名称の分析を行い,脳の機能等を高めることを標ぼうして販売されていた製品(約60品目)をピックアップした。次に,これらの製品の薬理作用や医薬品等として用いた時に生じる副作用の情報等を基に,薬物依存等に関する研究を行っている日本アルコール・アディクション医学会の専門家による精査を踏まえて,個人輸入における取扱いを見直すべき品目として27成分を選定し,第3回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(平成29年11月)で報告した1)。最終的に,パブリックコメントの結果等を踏まえ,医師の処方箋又は指示によらない個人の自己使用に よって健康被害や乱用につながるおそれが高いと考えられる25成分(表)について,原則として数量に関わらず予め薬監証明の交付を受けない限り一般の個人による輸入は認めないという通知を発出し,平成31年1月1日から施行された2)

 厚生労働省は,定期的に,脳の機能等を高めることを標ぼうして販売されている品目の調査を行い,健康被害や乱用につながるおそれが高いと考えられる品目については,順次,同様の措置を行っていくとしており,私たち薬剤師も,今後も注意深く確認していく必要がある。

 

参考資料

1)“第3回医薬品医療機器制度部会・参考資料8-1,8-2(平成29年11月15日)

2)“薬生監麻発1126第3号「脳機能の向上等を標ぼうする 医薬品等を個人輸入する場合の取扱いについて」(平成30年11月26日)

(日本大学病院薬剤部 佐々木 祐樹)