プレアボイドフォーラム東京 2016

 

  • プレアボイドフォーラム東京2016が開催されました。

 

 今年のプレアボイドフォーラム東京2016は、高齢者の安全な薬物療法ガイドラインについて東京都健康長寿医療センター 薬剤科 深野 光司先生、業務と連動したプレアボイド報告及び集積について多摩北部医療センター 薬剤科 高橋 信先生、及び質の高いプレアボイド報告を増やす方法について横浜総合病院 薬剤科 佐村 優先生にご講演頂くとともに、東京都内の会員ご施設より、3施設の先生をお招きして、事例などを交えて活動報告をご講演いただきました。

 

[開催概要]

日時:2016年2月27日(土)13:30~16:30

場所:東医健保会館 2階大ホール 

共催:一般社団法人東京都病院薬剤師会、第一三共株式会社

 

[プログラム]

■製品説明

「高齢者高血圧における降圧療法の最近の話題」 第一三共株式会社

 

■開会挨拶

一般社団法人東京都病院薬剤師会 医薬情報部 副部長 小林 仁 先生

 

                 

 

■基調講演

「東京都におけるプレアボイドの現状」

一般社団法人東京都病院薬剤師会

医薬情報部プレアボイド推進小委員会 委員長 村松 博 先生

 

                    

 

東京都におけるプレアボイドの報告件数の推移について報告されました。平成26年度の東京都におけるプレアボイド報告は、2743件と全国4位でした。しかし、報告をしてくださる施設は、日病薬会員施設468施設のうち58施設と、全国4位だった昨年より増加しているものの、まだまだ低い状況にあり、一昨年8位だった神奈川県(26年度3位)に追いつくことはできませんでした。

 本講演では、事前アンケートで得られた回答をもとに、プレアボイド報告を増やすための取り組み等について述べられ、また平成28年度から様式追加となる「様式3:薬剤師の臨床業務に基づき処方提案が薬物治療効果の向上に寄与した事例報告用の書式」についてもお話しされました。

今後とも、薬剤師職能評価でもあるプレアボイドにより一層ご協力くださるようお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

■特別講演1

「高齢者の安全な薬物療法ガイドラインについて」

東京都健康長寿医療センター 薬剤部 深野 光司先生

座長:青梅市立総合病院 田中 三広 先生

 

 

 

特別講演1では高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015をテーマにご講演いただきました。

 高齢者で薬物有害事象の頻度が高く、しかも重症例が多いことを背景として高齢者薬物療法の安全性を高めることを目的に、2005年に高齢者の安全な薬物療法ガイドラインが作成されました。そして昨年、有効性のエビデンスや疾患別ガイドラインも参照してリスク・ベネフィットバランスを検討し、クリニカルクエッションとキーワード、またエビデンスの質、推奨度を明記した、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015が改定されました。

本講演ではガイドラインの活用方法や東京都健康長寿医療センターでの具体的な注意事例、薬剤師の役割などを中心に述べられました。高齢者関連の認定薬剤師制度も新たに制定され、より一層薬剤師の関わりが重要となっていく分野であると思われます。 

 

 

 

 

 

■特別講演2

「業務と連動したプレアボイド報告及び集積について」

多摩北部医療センター 薬剤科 高橋 信先生

座長:虎の門病院 柏村 友一郎 先生

 

  

 

特別講演2では「業務と連動したプレアボイド報告及び集積」をテーマにご講演いただきました。

 多摩北部医療センターでは、医薬品情報室の医薬品に関する膨大な情報を有効に利用するため、医薬品情報共有システムを開発し、電子カルテで本システムを使用することにより業務と連動することが可能となっています。その一環として、プレアボイド報告も病棟業務日誌作成の際に連動して作成される仕組みになっています。

本講演では、電子カルテ内での医薬品情報共有システムを用いたDI業務のシステム化について述べられました。プレアボイド報告は重要でありますが、報告書作成等に時間がかかり、通常業務の負担となってしまうのも事実です。そのため、多摩北部医療センターのような日常業務に連動してプレアボイド報告が可能なシステムの構築は、非常に有用であると思われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■特別講演3

「質の高いプレアボイド報告を増やすには」

横浜総合病院 薬剤科 佐村 優先生

座長:虎の門病院 柏村 友一郎 先生

 

 

特別講演3では「質の高いプレアボイド報告」をテーマにご講演いただきました。

 横浜総合病院で報告された、ダパグリフロジンやダプトマイシンを用いた治療に対するプレアボイド報告を中心に、病棟・薬剤科間での情報の共有化などのお話をされていました。質の高いプレアボイド報告を増やすには、1つの医薬品の知識を深め、臨床に活用する。添付文書、ガイドラインの根拠、限界点を理解し、活用する。患者情報を正確に把握する。評価した情報と院内の患者背景、使用状況を評価しながら、院内適正使用に応用する。などのことが必要であると述べられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■プレアボイド推進にむけた活動報告

 

座長:板橋中央総合病院 駒井 信一郎 先生

東京都済生会中央病院  吉原 正和  先生

 

1.慶應義塾大学病院 川島 沙織先生

 

 

 

川島先生には、ノーベルバール®過量投与未然回避事例についてご発表いただきました。

事例内容は、ノーベルバール®の維持投与時の過量投与についての事例に関してであり、新生児けいれんに対し使用する際の添付文書の表記方法への改善点等も述べられており、添付文書やIFのわかりやすい表記の重要性について再認識させられました。

 

 

2.日本医科大学多摩永山病院 津田 充穂 先生

 

  

 

津田先生には、日本医科大学多摩永山病院におけるプレアボイド事例として、病棟薬剤業務実施加算算定に伴うプレアボイドについてご発表いただきました。

用法用量の変更や配合変化、処方不備など特に頻度の多い項目から、頻度は少ないものの、同効薬の重複投与や透析時の薬物投与量調整など、様々な種類のプレアボイド報告例について述べられました。複雑な事例ばかりでなく、単純な事例であっても確実にプレアボイドを行っていくことの重要性についてお話しされました。

 

3.多摩南部地域病院 畠山 卓 先生

 

  

畠山先生には、制吐剤見直しが副作用回避につながった一例についてご発表いただきました。

多摩南部地域病院における軽度催吐性リスク群に対する制吐剤の使用をガイドラインで推奨される制吐剤に変更したことで大幅な薬剤費の削減が可能になった上、悪心が改善した症例についてお話しされ、さらにプレアボイド報告を報告のみで終わらせない工夫について述べられていました。

 

 

■総合討論

座長:板橋中央総合病院 駒井 信一郎 先生

東京都済生会中央病院  吉原 正和  先生

 

 

 

慶應義塾大学病院 川島 沙織先生

日本医科大学多摩永山病院 津田 充穂 先生

多摩南部地域病院 畠山 卓 先生 

 

 今回の総合討論では、フロアから様々な先生から色々な質問やご意見などをいただき、演者の先生方からお答えいただきました。薬剤師以外の職種に対するプレアボイドの認知度を上げていくことの難しさ・必要性についても討論されました。

病院の規模や特性などにより、プレアボイドへの関わり方や頻度は異なりますが、今後とも継続してプレアボイド報告を行っていくことの重要性も再認識でき、どのようにプレアボイドを啓蒙していくか改めて考える良い総合討論となりました。

 

■閉会挨拶

一般社団法人東京都病院薬剤師会

 医薬情報部プレアボイド推進小委員会 委員長 村松 博 先生

 

 

 

今年は「質の高いプレアボイド報告を増やす」というコンセプトで東京都健康長寿医療センター

薬剤科 深野光司先生、多摩北部医療センター 薬剤科 高橋 信先生および横浜総合病院 薬剤科 佐村 優 先生にご講演いただきました。高齢者の安全な薬物療法ガイドラインや業務と連動したプレアボイド報告、質の高いプレアボイド報告を増やす、など病院独自の工夫などを教えて頂き、非常に有意義な時間であったと感じております。

 その後の施設報告では、様々な規模の病院の先生方からご発表をいただきました。

 今回は昨年と同様、80名近くの先生方にご参加頂くことができました。

 東京都において、プレアボイド報告件数が伸び悩んでいる現在、報告件数を増やしプレアボイドの裾野を拡げることを念頭に今後も啓蒙を行っていきたいと考えております。来年も魅力あるフォーラムを開催したいと思います。

(記 医薬情報部プレアボイド推進小委員会 田杭 直哉)