そこが知りたい 2013(平成25)年12月号

口腔アレルギー症候群(OAS)とPollen-associated food allergy syndrome(PFS)

 口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome,OAS)とは,口腔粘膜に限局したIgE抗体を介した即時型アレルギー症状であり,患者の多くが花粉症を有している。この花粉症を合併している場合をPollen-associated food allergy syndrome(PFS)とも呼ぶ。主要な原因食品は果物や生野菜であり,花粉抗原との共通抗原性により発症する。従来の経腸管感作により発症する食物アレルギーをクラス1,経気道感作後の交差反応性で生じるものをクラス2と区別し,OASはクラス2食物アレルギーの主要症状である(表1)。

 OASの臨床症状は,果物や生野菜を摂取した直後から始まる口腔内のかゆみ,ひりひり感や軽度の発赤,口唇や口腔内,口蓋の浮腫であり,通常これらの症状は軽症で自然に治まる。発症は学童期以降にみられ,花粉症の症状がOAS発症に先行するが,花粉に感作された患者が花粉症を発症する前にOASを発症する場合もある。

 代表的な花粉抗原と関連する食品群との組み合わせ(表2)が報告されており,日本では北海道のシラカンバや兵庫県のオオバヤシャブシ(カバノキ科ハンノキ属)の花粉症患者の20%程度にりんごなどのバラ科植物に対するOAS合併が見られる。

 診断は詳細な病歴聴取と該当食品に対する特異的IgE抗体検査結果を参考に行うが,血中特異的IgE抗体測定キットよりも生野菜や果物そのものを用いたprick-to-prick testのほうが有用である。治療は原因食品の除去が基本であるが,多くは加熱により経口摂取が可能となる。加熱処理された加工食品や缶詰,市販のジュースはほぼ安全に摂取できるため,病歴から安全性がはっきりしていれば摂取可能である。

 

表1 クラス1食物アレルギーとクラス2食物アレルギー

  クラス1 クラス2
感作経路 経腸管 経気道
発症年齢 乳幼児期 学童期以降
症状 口腔症状から始まって,皮膚症状,消化器症状,呼吸器症状を伴う 口腔内に限局
代表的食品 卵,牛乳,小麦,ピーナッツ,魚 野菜,果物
熱や酵素に対する安定性 安定 不安定
診断 病歴,皮膚プリックテスト,血中抗原特異的IgE抗体検査,経口負荷試験 病歴,prick-to-prick test,新鮮な食品切片を用いた舌下投与試験
治療 除去

除去

多くは加熱処理により摂取可能

 

表2 主な花粉と交差反応性が報告されている果物・野菜

花粉 果物・野菜
シラカンバ リンゴ,西洋ナシ,サクランボ,モモ,スモモ,アンズ,アーモンド(バラ科),セロリ,ニンジン(セリ科),ポテト(ナス科),キウイ(マタタビ科),ヘーゼルナッツ(カバノキ科),マンゴー(ウルシ科),シシトウガラシ など
スギ トマト(ナス科)
ヨモギ セロリ,ニンジン(セリ科),マンゴー(ウルシ科),スパイス など
イネ科 メロン,スイカ(ウリ科),トマト,ポテト(ナス科),キウイ(マタタビ科),オレンジ(ミカン科),ピーナッツ(マメ科) など
ブタクサ メロン,スイカ,ズッキーニ,キュウリ(ウリ科),バナナ(バショウ科) など
プラタナス ヘーゼルナッツ(カバノキ科),リンゴ(バラ科),ピーナッツ,ヒヨコ豆(マメ科),レタス,トウモロコシ

 食物アレルギー診療ガイドライン2012 より一部改変

 

参考文献

日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会作成:“食物アレルギー診療ガイドライン2012”,協和企画,東京,2011

(都立小児総合医療センター薬剤科 大村由紀子)