プレアボイドフォーラム東京 2019

プレアボイドフォーラム東京2019が開催されました。

今年のプレアボイドフォーラム東京2019は、抗菌薬適正使用のための5D’sについて東京医科大学病院 薬剤部・感染制御部 添田 博 先生、救急・集中治療における薬剤師業務について日本大学医学部附属板橋病院 薬剤部 関本 真雄 先生にご講演頂くとともに、東京都内の会員ご施設より、3施設の先生をお招きして、事例などを交えて活動報告をご講演いただきました。

 

[開催概要]

日時:2019年2月16日(土)13:30~16:30

場所:東医健保会館 2階大ホール 

共催:一般社団法人東京都病院薬剤師会、第一三共株式会社

 

[プログラム]

 

■製品説明

 

「血栓症治療に関する最近の話題」 第一三共株式会社

 

■開会挨拶

 

一般社団法人東京都病院薬剤師会 副会長 篠原 高雄 先生 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■基調講演

 

「東京都におけるプレアボイドの現状」

 

一般社団法人東京都病院薬剤師会

医薬情報部プレアボイド推進小委員会 委員長 村松 博 先生

 

 

東京都におけるプレアボイドの報告件数の推移について報告されました。平成29年度の東京都におけるプレアボイド報告は、2744件と全国4位でした。東京都は報告件数が4116件から減少したものの、昨年同様全国4位となっています。

 本講演では、事前アンケートで得られた回答をもとに、プレアボイド報告を増やすための取り組みについて述べられました。

またプレアボイドの報告手順について、日本薬剤師会のホームページを参照しながら、様式1,2,3の違いなどを踏まえご説明頂きました。

今後とも、薬剤師職能評価でもあるプレアボイドにより一層ご協力くださるようお願いいたします。

 

■特別講演1

 

「薬剤師からはじめる感染対策と抗菌薬適正使用 

 〜耐性菌によるリスクを回避するために〜」

東京医科大学病院 薬剤部・感染制御部 添田 博 先生

座長:南町田病院 小林 仁 先生

IMS明理会中央総合病院 遠藤 祐里佳

  

 

 

特別講演1では抗菌薬適正使用のための5D’sについてご講演いただきました。

5D’sとは、①Diagnosis(適切な診断)②Drug(適切な薬剤選択)③Dose(適切な用量)④De-escalation(適切な狭域化)⑤Duration(適切な治療期間)の頭文字をとったものです。

この5つの点を踏まえ、感染症の治療効果向上および、耐性菌を含む有害事象を回避するためには、抗菌薬適正使用支援活動を実施することが重要であるとお話されました。

また、東京医科大学病院における手指衛生の向上への取り組みについてもお話して頂き、耐性菌問題に立ち向かうには、抗菌薬の適正使用と感染対策の両方の充実が必要であることが再認識できました。

 

 

■特別講演2

 

「救急・集中治療領域における薬剤師業務」

日本大学医学部附属板橋病院 薬剤部 関本 真雄 先生

 

 

 

特別講演2では救急・集中治療領域における薬剤師業務と、日本大学医学部附属板橋病院におけるプレアボイド症例(初療編・集中治療編)についてご講演いただきました。

 日本大学医学部附属板橋病院では24時間365日初療の全例に薬剤師が参画しており、薬剤の準備・調製からタイムキーパーまで様々な業務への介入の必要性についてお話されました。

またプレアボイド事例として、患者背景よりESBL産生菌のカバーの必要性を考慮し抗菌薬の変更を推奨した1例、血行動態が不安定な患者へのリズムコントロールの危険性を考慮した薬剤変更の1例について発表して頂きました。薬剤師が初期治療から参画していく重要性について再確認いたしました。

 

 

■プレアボイド推進にむけた活動報告

座長:日本医科大学多摩永山病院 田杬 直哉 先生

 

 

 

1.東京逓信病院 吉田 遥香 先生

吉田先生には東京逓信病院でのプレアボイド活動、プレアボイド事例報告として、患者の言動・行動からせん妄を疑い、せん妄リスク薬の減量を提案した1例について発表していただきました。

病棟薬剤業務日誌の書式の変更が、薬学的介入事例記載件数の増加につながっており、他施設の先生方も参考になる大変有用なお話であったと思われました。

 

2.イムス葛飾ハートセンター 利谷 正浩 先生

利谷先生にはイムス葛飾ハートセンターにおけるプレアボイド活動状況、プレアボイド事例報告として、アドヒアランス向上によるPT-INRの延長を予測し、ワルファリンを減量し出血リスクの軽減と入院期間の短縮に寄与した1例、「ペニシリンGカリウム投与時の注意点」の用紙で注意喚起を行うことで、高カリウム血症や静脈炎などの副作用を防止できた1例について発表していただきました。

医師から処方される前段階で相談を受けることが多く、病棟業務が多くのプレアボイドにつながっていることをお話されました。

 

3.東邦大学医療センター大森病院 今川 貴仁 先生

今川先生には東邦大学医療センター大森病院におけるプレアボイド事例として、SBT/ABPCによる血小板減少重篤化回避に貢献した例、オシメルチニブの相互作用と思われる肝障害からの改善例について発表していただきました。

東邦大学医療センター大森病院では、薬学的介入事例をインタベ―ションカードとしてまとめ、報告会で発表されていることをお話しされました。病棟業務に携わるようになるとこのカードを書くことが習慣づけられており、苦にならずに行えているというお話が印象的でした。

 

■総合討論

 座長:日本医科大学多摩永山病院 田杬 直哉 先生

 

東京逓信病院 吉田 遥香 先生

イムス葛飾ハートセンター 利谷 正浩 先生

東邦大学医療センター大森病院 今川 貴仁 先生

 

 今回の総合討論では、フロアの先生から色々なご質問やご意見などをいただき、演者の先生方からお答えいただきました。病院の規模や特性などにより、プレアボイドへの関わり方や頻度は異なりますが、今後とも継続してプレアボイド報告を行っていくことの重要性も再認識でき、どのようにプレアボイドを啓蒙していくか改めて考える良い総合討論となりました。

 

 

■閉会挨拶

 

南町田病院 薬剤科 小林 仁 先生

 

今年は「抗菌薬の適正使用について」というコンセプトで東京医科大学病院 薬剤部・感染制御部 添田 博 先生、日本大学医学部付属板橋病院 薬剤部 関本 真雄 先生にご講演頂きました。改めて安全で適切な薬物治療を実践するために薬剤師の介入が重要であることが再認識できたのではないかと感じております。

 その後の施設報告では、様々な規模の病院の先生方からご発表をいただきました。プレアボイド報告について病院独自の工夫などを教えていただき、非常に有意義な時間であったと感じております。

 東京都において、プレアボイド報告件数が伸び悩んでいる現在、報告件数を増やしプレアボイドの裾野を拡げることを念頭に今後も啓蒙を行っていきたいと考えております。来年も魅力あるフォーラムを開催したいと思います。

 

 

                  (記 医薬情報部プレアボイド推進小委員会 遠藤 祐里佳)