プレアボイドフォーラム2015


プレアボイドフォーラム東京2015が開催されました。

 今年のプレアボイドフォーラム東京2015は、抗血小板薬や抗凝固薬に関わるマネジメント・プレアボイドについて東京大学医科学研究所付属病院 薬剤部 安 武夫先生、および虎の門病院 薬剤部 五十嵐 正博先生にご講演頂くとともに、東京都内の会員ご施設より、3施設の先生をお招きして、事例などを交えて活動報告をご講演いただきました。

 

[開催概要]

日時:2015年2月14日(土)14:00~17:00

場所:府中グリーンプラザ 6階 大会議場

共催:一般社団法人東京都病院薬剤師会、第一三共株式会社

 

[プログラム]

■製品説明

「抗血小板薬の最近の話題」 第一三共株式会社

 

■開会挨拶

一般社団法人東京都病院薬剤師会 会長 明石 貴雄 先生

                 

■基調講演

「東京都におけるプレアボイドの現状」

一般社団法人東京都病院薬剤師会

医薬情報部プレアボイド推進小委員会 委員長 村松 博 先生

                    

東京都におけるプレアボイドの報告件数の推移について報告されました。平成25年度の東京都におけるプレアボイド報告は、2276件と全国4位でした。しかし、報告をしてくださる施設は、日病薬会員施設468施設のうち45施設とまだまだ低い状況にあり、全国3位だった昨年度に比べ報告件数は増加したものの、昨年8位だった神奈川県に追い抜かれてしまいました。

 今年度におけるプレアボイドの動向としては、平成26年6月12日より改正された薬剤師法(第25条の2)より、投薬窓口にて薬学的知見に基づく指導が必要となりました。この改正は、まさに「プレアボイドの実践」を意味しているものと考えられます。

今後とも、薬剤師職能評価でもあるプレアボイドにより一層ご協力くださるようお願いいたします。

 

■特別講演1

「抗血小板薬のマネジメント」

東京大学医科学研究所附属病院 薬剤部 安 武夫 先生

 

座長:平成立石病院 湯本 敦 先生

 

          

特別講演1では抗血小板薬のマネジメントをテーマにご講演いただきました。

 平成26年5月より、新規抗血小板薬であるプラスグレル(エフィエント錠®)が本邦にて発売され、抗血小板療法を行う際の選択肢が増え、薬剤師においてもより一層理解して適正使用を促すことが望まれます。

 本講演では、従来より使用されているアスピリンとクロピドグレルを中心に、虚血性心疾患時の使用方法や内視鏡検査施行時の休薬方法、冠動脈ステント留置術後のDAPTなどについて、様々なデータを基に、問題点を交えお話しされました。

 

■特別講演2

「抗凝固薬(ワルファリン)とプレアボイドについて」

虎の門病院 薬剤部 五十嵐 正博 先生

 

座長:平成立石病院 湯本 敦 先生

  

特別講演2では「抗凝固薬(ワルファリン)とプレアボイドについて」をテーマにご講演いただきました。

 ワルファリンは抗凝固療法において、中核を為す薬剤であり、直接トロンビン阻害剤やFXa阻害剤等の新規抗凝固薬が上市されている現在においてもなお、重要な薬剤として位置づけられている。

本講演では、投与量において個人差の大きいワルファリンに対し、導入時におけるノモグラムを作成することにより、一定の投与量基準を設け、投与経験が少ない医師が処方してもINRコントロールが大きく乱れる事例がないようにすることを目指した虎の門病院の取り組みについてお話しされました。

 またワルファリンは、相互作用のある薬剤が非常に多いことも知られていますが、その中で特に注意すべきものとしてミコナゾールゲルによる相互作用を挙げられた。ワルファリン投与開始と同時にミコナゾールゲルを中止した実際の症例で、ミコナゾールゲルによる相互作用が残存している可能性を考慮した薬剤師がノモグラムを参考に医師と協働で処方設計を行ったプレアボイド事例を挙げ、ノモグラムの発展的な使用法の可能性について述べられました。

 

 

 

■プレアボイド推進にむけた活動報告

 

座長:板橋中央総合病院 駒井 信一郎 先生

 

1.東京女子医科大学病院 石井 仁美先生

石井先生には、プレアボイド事例を交えながら、薬剤部内での取り組みについてご発表いただきました。事例内容は、分子標的薬による皮膚障害の重篤化を回避した事例に関してでした。近年、分子標的薬が非常に増えており、特徴的な副作用も知られています。薬剤師による副作用モニタリングを実施し、薬物治療に積極的に介入することで、有害事象発現の未然回避や重篤化を防ぐことの重要性を再確認できたのではないでしょうか。

 

2.国家公務員共済組合連合会 立川病院 田邊 敬子 先生

 

田邊先生には、病棟薬剤業務におけるプレアボイド事例3例についてご発表いただきました。事例内容は、周術期および腎機能低下例おけるメトホルミン中止について、抗血小板薬休薬中の脳梗塞再発例への対応、および抗凝固薬重複投与例への対応についてでした。どの事例も、どこの施設でも起こり得るものであり、また、近年増加している抗凝固薬の使い分けについて、薬剤師がきちんと把握しておくことの重要性を再認識させられました。

3.IMSグループ 東京腎泌尿器科センター大和病院 山木 和子 先生

 

山木先生には、プレアボイド事例を交えながら、東京腎泌尿器科センター大和病院におけるプレアボイド事例の特徴についてご発表いただきました。事例内容は腎機能低下患者に対する薬剤投与量に関する関わりについてでした。腎排泄型の薬剤は腎機能障害時に減量を要することが多く、透析を行っている場合はさらに複雑な設計が必要となります。腎臓病薬物療法認定薬剤師による勉強会を定期的に開催するなど、多くの薬剤師が注意喚起できる体制を構築する重要性についてお話しされました。

 

■総合討論

座長:板橋中央総合病院 駒井 信一郎 先生

 

東京女子医科大学病院 石井 仁美先生

国家公務員共済組合連合会 立川病院 田邊 敬子 先生

IMSグループ 東京腎泌尿器科センター大和病院 山木 和子 先生

 

 今回の総合討論では、フロアから様々な先生から色々な質問やご意見などをいただき、演者の先生方からお答えいただきました。薬剤師以外の職種に対するプレアボイドの認知度を上げていくことの難しさ・必要性についても討論されました。

病院の規模や特性などにより、プレアボイドへの関わり方や頻度は異なりますが、今後とも継続してプレアボイド報告を行っていくことの重要性も再認識でき、どのようにプレアボイドを啓蒙していくか改めて考える良い総合討論となりました。

 

 

■閉会挨拶

一般社団法人東京都病院薬剤師会

 医薬情報部プレアボイド推進小委員会 委員長 村松 博 先生

 

 

今年は「抗血小板薬・抗凝固薬に関わるプレアボイド」というコンセプトで東京大学医科学研究所附属病院 薬剤部 安 武夫先生、および虎の門病院 薬剤部 五十嵐 正博先生にご講演いただきました。抗血小板療法を行う際のマネジメントや、ワルファリン導入時のノモグラム作成によるプレアボイドなど、抗血栓療法の必要性・危険性だけでなく病院独自の工夫などを教えて頂き、非常に有意義な時間であったと感じております。

 その後の施設報告では、様々な規模の病院の先生方からご発表をいただきました。

 2/14バレンタインデーの土曜日の午後ではありましたが、80名近くの先生方にご参加頂きました。また、今回は開催地が府中ということもあり、特に西東京地区の先生方に多くご参加いただくことができました。

 東京都において、プレアボイド報告件数が伸び悩んでいる現在、報告件数を増やしプレアボイドの裾野を拡げることを念頭に今後も啓蒙を行っていきたいと考えております。来年も魅力あるフォーラムを開催したいと思います。

(記 医薬情報部プレアボイド推進小委員会 田杭 直哉)