用語の解説

用語の解説



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アカシジア akathisia
 錐体外路症状(パーキンソニズム)の一つで着席・静座不能とも言われる。落ち着きなく,執拗に歩き回る、持続的に立ったり座ったりする、焦燥感,易刺激性,不安などの不快な精神症状を示す。精神症状の悪化と誤診されやすいが,非定型型抗精神病薬でも出現することが多い。

暁現象 Dawn phenomenon
 明け方に血糖が上昇する現象。生理現象として午前3時~5時頃に肝で糖新生が高まり,エピネフリン,コルチゾールの上昇が始まる。この時,肝での過剰な糖新生を抑えるためにインスリンの分泌レベルが上昇する。しかし,夜間インスリン欠乏状態にあるインスリン依存性糖尿病患者では,内因性のインスリンが無いか極めて少ないために,肝の糖新生が過剰になり,血糖値を上昇させる。

悪性症候群 Malignant syndrome(Syndrome malin)
 抗精神病薬・抗うつ薬を投与中の患者にみられる副作用で,原因不明の高熱(38℃以上)と共に発汗・尿閉等の自律神経症状と振戦・筋硬直等の錐体外路症状を呈する。予後は重篤になることもあり,意識障害・呼吸困難・脱水症状等を呈し,致死的になる場合もある。

アゴニスト Agonist
 受容体と結合して受容体の構造変化をもたらし,ついで細胞内情報伝達機構を介して,種々の生理作用を示す物質を言う。すなわち,受容体に結合して組織反応を引き起こすような薬物のことで,活性薬・作動薬・作用薬とも呼ばれている。
→アンタゴニスト;パーシャルアゴニスト

アシドーシス Acidosis
 血液・体液のpHが正常域(7.36~7.44)より低下した状態をいう。血液のpH調整は肺からの揮発酸(炭酸ガス)の排泄,腎からの非揮発酸(リン・乳酸等)の排泄,または肝代謝に依存している。揮発酸の排出障害による血液pHの低下を呼吸性アシドーシス,非揮発酸に対する生体処理能力の低下,生産過剰に基づく血液pHの低下を代謝性アシドーシスという。代謝性アシドーシスの原因は,糖尿病・腎不全・下痢等で意識障害・血圧降下・肺浮腫がみられる。呼吸性アシドーシスの原因は重篤な肺炎・急性肺浮腫・慢性閉塞性肺疾患で過呼吸・努力呼吸・チアノーゼ等の症状が認められる。
→アルカローシス

アスピリン喘息 Aspirin induced asthma
 アスピリン等により誘発する気管支喘息発作をいう。原因はアスピリン等がシクロオキシゲナーゼを阻害することでアラキドン酸カスケードのPGs(Prostaglandins)合成系が抑制され,一方でロイコトリエン合成が促進され,化学反応物質SRS-Aが増加し過敏症が引き起こされるといわれている。

アディポネクチン Adiponectin
 脂肪組織が産生・分泌するアディポサイトカインの一種。骨格筋,肝臓では脂肪酸の燃焼および糖の取り込み促進によるインスリン抵抗性の改善,動脈では血管内膜肥厚抑制などによる動脈硬化の抑制などの作用を持っている。脂肪細胞が肥大すると分泌が抑制され,メタボリックシンドロームとの関連性が指摘されている。
→1型糖尿病/2型糖尿病;メタボリックシンドローム

アテローム変性 Atheromatosis
 動脈硬化症でコレステロール等の類脂肪脂質の沈着度が高まり,かつ動脈壁の繊維成分の変化が起こり,粥状に肥厚したものである。
→アディポネクチン;メタボリックシンドローム

アトピー性皮膚炎 Atopic dermatitis
 顔や体に湿疹ができ,かゆみやそれに伴う痛みが絶えない皮膚病のことである。アレルギーを起こしやすい素因に,食物やダニ等が引き金になって起こる説と接触皮膚炎の説があり,根本原因はよくわかっていない。

アドレノメデュリン Adrenomedullin (AM)
 持続時間が30~60分と持続する1993年に発見された降圧ペプチド。この降圧作用は,最も強力な血管拡張性の降圧ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に匹敵することから,アドレノメデュリンが生体内でも重要な役割を果たしているものと考えられている。

アナフィラキシー Anaphylaxis
 ある抗原によって感作された生体が,再びその抗原にさらされたとき,その抗原が肥満細胞や好塩基球に固着した抗体(ヒトの場合はIgE抗体)と反応し,これらの細胞から脱顆粒によってヒスタミン等の化学伝達物質が放出され,急激な症状を引き起こす現象をいう。
→アレルギー

アポトーシス(アポプトーシス) Apoptosis
 細胞が自己の持つプログラムを作動させて自殺する細胞死現象である。オタマジャクシがカエルに変態するとき尾部細胞が死ぬ現象や脊椎動物における指形成時に指間細胞が発生途上で死ぬ現象はアポトーシスの例とされる。

アミロイド(類デンプン体) Amyloid
 病的(類デンプン症)な組織切片等をヨウ素デンプン液で処理すると褐色を呈したり,塩基性色素で染色すると変色反応を起こすものである。半透明無構造で酸アルカリに抵抗する糖タンパク質の一種と考えられている。この物質が沈着することをアミロイド変性といい,局所性ならびに全身性アミロイド症の際にみられる。
→アルツハイマー病;プリオン;BSE

アリストロキア酸
 アリストロキア属の植物に含有される成分で,腎障害を引き起こすことが知られている。厚生省の医薬品・医療用具等安全性情報(No161)において,含有生薬・漢方薬の使用に関して注意の喚起がなされている。

アルカローシス Alkalosis
 血液・体液のpHが上昇した状態。生体で産生されるCO2量に比べ,肺胞より呼出されるCO2量が過剰になった状態の呼吸性アルカローシスと塩基の過剰による代謝性アルカローシスに大別される。呼吸性アルカローシスの原因は,不安・頭部外傷・脳腫瘍・肺塞栓・肺炎・うっ血性心不全で,四肢知覚異常・テタニー・耳鳴り等の症状が現れる。代謝性アルカローシスの原因は長期間の嘔吐・原発性アルドステロン症や,乳酸・クエン酸・酢酸・HCO3-の投与等であり,症状は筋痙攣やテタニーである。
→アシドーシス;テタニー

アルゴリズム Algorithm 
 問題を解決する手順の流れを系統的に図式化したフローチャートのことである。各段階で選択すべき各項目の選択理由についての解説と根拠が提示されている。それらの中から適切な選択肢を選びながら臨床で実践していく手法。アルゴリズムの導入によって科学的で客観的に進めることができる。

アルツハイマー病 Alzheimer disease
 ドイツの精神科医A.アルツハイマーが報告した老人性痴呆症のことで,知能低下から人格の喪失にいたる激しいタイプの痴呆である。病理学的には広範な脳萎縮が認められ,アミロイドという物質の斑点ができる特徴がある。
→アミロイド;老人斑

アルドース還元酵素阻害薬 Aldose reductase inhibitor
 血中のグルコースは,通常ヘキソキナーゼの解糖系で代謝される。しかし,糖尿病のような高血糖状態が続くと,もう一方の代謝系であるポリオール代謝系が亢進し,アルドース還元酵素によってソルビトールが増加する。生成したソルビトールは,神経のシュワン細胞に多く蓄積され,神経障害の要因になると考えられている。そのため糖尿病性の神経障害に対する治療法として,アルドース還元酵素阻害薬が用いられる。
→αグルコシダーゼ阻害薬;インスリン抵抗性改善薬;1型糖尿病/2型糖尿病

α型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ハンプ) α-human Atrial Natriuretic Peptide(hANP)
 心臓から分泌され,体液量及び循環調節に関与しているホルモンの1種である。心機能の低下に際して,動・静脈血管拡張作用,利尿作用及びRA(レニン-アンジオテンシン)系抑制作用等によって,前・後負荷を軽減し,心機能を改善する。
→脳性ナトリウム利尿ペプチド

αグルコシダーゼ阻害薬 α-Glucosidase Inhibitor(α-GI)
 二糖類を単糖類(グルコース・フルクトース・ガラクトース)に分解する酵素(αグルコシダーゼ)を阻害する薬剤であり,糖の吸収を遅延させ食後の高血糖を抑制する。SU剤やインスリンと併用されることもあるが,それによる低血糖の際はショ糖ではなく,ブドウ糖で治療しなければならない。重篤な肝障害をおこすことがある。
→アルドース還元酵素阻害薬;インスリン抵抗性改善薬;1型糖尿病/2型糖尿病

αブロッカー α-Blocker
 交感神経のα受容体を特異的に遮断する薬物。αブロッカーには非選択的にα受容体を遮断するものとα1あるいはα2受容体に結合し,その作用を遮断するものとがある。非選択的α遮断薬としてはトラゾリンがあり,α1受容体のみならずα2受容体をも遮断する。また,α1受容体遮断薬にはテラゾシン,ドキサゾシン,ブナゾシンなどがある。

アレルギー Allergy
 抗原抗体反応によって引き起こされる生体の異常反応である。全身性の反応の強いものをアナフィラキシーと呼ぶ。アレルギーは反応速度の時間によって即時型(第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅴ型)と遅延型(第Ⅳ型)に分類される。
→アナフィラキシー

アロマターゼ阻害薬 Aromatase inhibitor
 卵胞ホルモン合成阻害薬のことである。チトクロームP-450に結合し,阻害作用を示す非ステロイド化合物と,アロマターゼの基質であるアンドロゲン(androgen)に対して拮抗的に作用するステロイド類縁化合物の2種に分類される。現在,女性進行乳癌・乏精子症・多嚢胞性卵巣・思春期早発症等に臨床応用されている。

安全域 Safety margin
 50%致死量(LD50)と50%有効量(ED50)の比,LD50/ED50を安全域または治療係数(Therapeutic ratio)といい,この値が大きいほど安全な薬といえる。薬物の毒性を単に致死量で評価するのではなく,有効量との関係で考えた方が合理的である。

アンタゴニスト Antagonist
 受容体に結合し,アゴニストの効果を阻害するが,それ自体は受容体と結合しても効果を発揮しない物質,拮抗物質。
→アゴニスト

アンチセンス Antisense
 人工的に作った遺伝子「アンチセンスDNA(デオキシリボ核酸)」のことで,エイズウイルスや癌など特定の遺伝子が原因で起きる病気に対して,ウイルスや細胞を増殖する遺伝子に結合して,病気の原因となっているたんぱく質の生合成を妨げる作用を有する。
→アンチセンスRNA

アンチセンスRNA Antisense RNA
 ある特定の遺伝子からつくられるメッセンジャーRNAに相補的な配列を持つ分子をアンチセンスRNAという。これを化学合成し,使用することにより遺伝子の活性を人為的に変化させることができ,疾患モデル動物の作成や遺伝子治療の手段として応用されている。
→アンチセンス

アンテドラッグ Antedrug
 科学的修飾により投与部位では活性を有し,循環系に入ると速やかに代謝されて不活化する物質。全身的副作用を軽減する目的で開発された薬剤。
→イオントフォレシス;コントロールドリリース;持続性製剤;ターゲッティング療法;プロドラッグ;DDS;TTS

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イオントフォレシス Iontophoresis (IP)
 電流を駆動力として,イオン化した薬物分子を組織に送り込む技術。皮膚に電圧をかけた時に流れる電流を駆動力として,イオン化した薬物分子が角質層内の電気抵抗の小さい毛嚢・汗腺・皮脂腺等を通り抜けることにより,薬物の皮膚透過が促進する。
→アンテドラッグ;コントロールドリリース;持続性製剤;ターゲッティング療法;プロドラッグ;DDS;TTS

1型糖尿病/2型糖尿病 Insulin Dependent Diabetes Mellitus(IDDM) /   Non-Insulin Dependent Diabetes Mellitus(NIDDM)
 糖尿病の病型分類である。1型はインスリン依存型糖尿病(IDDM)で膵臓β細胞機能がほぼ廃絶しており,インスリン注射を行わなければ,直ちに生命に危険がおよぶ糖尿病であり,若年に発症することが多い。2型は非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)でインスリン需要量が摂取カロリー過多等で増大し,膵臓β細胞のインスリン分泌がそれに見合って増加できず高血糖となり発症する。成人になって肥満を伴うことで発症することが多く生活習慣病のひとつである。
→アディポネクチン;アルドース還元酵素阻害薬;αグルコシダーゼ阻害薬;インスリン抵抗性改善薬;メタボリックシンドローム

遺伝子診断 Gene diagnosis
 遺伝子(DNA)の異常を検出する診断法。この方法は単に遺伝子疾患のみならず,ウイルスや細菌のDNAを検出することによって感染症の診断にも用いられている。また従来,免疫学的に行われていたHLAの判定,法医学的な個人の判定,がん遺伝子の検出によるがんの診断にも用いられている。
→ガン遺伝子

医薬品再審査制度 New drug reexamination system
 新医薬品承認後,原則6年間有効性及び安全性について製薬企業に使用成績等の調査を行わせ,その結果を再度審査する制度である。医薬品の市販後使用実態を把握し,有効性及び安全性について,市販後の多種使用条件下で承認された内容と差がないかを調査する。

医薬品等安全性情報報告制度
 国が直接,医師,歯科医師,薬剤師等の医療関係者から医薬品,医療用具等の副作用症例の報告を収集する制度。医師等の自発的な報告を収集するもので,いわゆる自発報告制度である。

医療廃棄物
 医療機関で発生する廃棄物の総称をいう。平成3年10月「特別管理廃棄物(一般及び産業廃棄物)」が新たに規定され,「爆発性,毒性,感染性,その他の人の健康又は生活環境に係わる被害を生ずる恐れがある性状」が明記され,それに基づき「感染性廃棄物処理マニュアル」が規定された。

医療法
 良質な医療を効率的かつ適切に提供する医療供給体制を確保することにより,国民の健康の保持に寄与することを目的とし,医療施設の計画的な整備,人的物的基準,管理体制等を規定している法律。医業又は歯科医業を行うことのできる施設としての病院,診療所及び助産所の開設・管理・整備を推進するために必要な事項が定められている。平成4年の改正で医療の担い手による医療提供の責務(第1条の4)が医療法に盛り込まれ,医療の担い手として薬剤師が明記された。

インスリン抵抗性改善薬
 インスリン抵抗性を改善することで骨格筋における糖取り込みの促進,肝臓での糖放出抑制作用を有し,膵臓からのインスリン分泌を刺激することなく,長期間安定した血糖コントロールを示す薬物である。内因性インスリンの有効利用によりインスリン非依存性糖尿病患者の空腹時血糖値を低下させ,同時に血中インスリン値も低下させる。
→アルドース還元酵素阻害薬;αグルコシダーゼ阻害薬;1型糖尿病/2糖尿病;アルドース還元酵素阻害薬

インタビューフォーム Interview form
 添付文書を補完し,医療に従事する薬剤師が医療情報担当者から当該医薬品について説明を受け,討議する資料として提供されるものであり,製薬企業によって作成される学術資料である。平成10年日本病院薬剤師会学術第3小委員会が新たな位置付けを明確化し記載様式を策定した。
→添付文書

インターフェロン Inteferon(IFN)
 脊椎動物に広く分布するサイトカインである。生体がウイルスに感染すると免疫担当細胞で速やかに産生,分泌され抗ウイルス作用を示す。α,β,γのタイプがあり,抗ウイルス剤,抗癌剤,慢性肝炎の治療剤として使用されている。
→ウイルス性肝炎

インターロイキン Interleukin(IL)
 ある種の細胞が自発的にあるいは外的な刺激により産生分泌する微量の蛋白性生理活性物質である。遺伝子工学の手法をもって大量生産が可能となったIL-2が,がんの免疫療法に臨床応用され,脚光を浴びるに至った。IL-2はヒト正常リンパ球を活性化し,強い抗腫瘍活性を有するキラー細胞を誘導する。

院内感染
 病院内で微生物に惹起された感染症である。病院外で微生物によって惹起された市中感染症(潜伏期を含む)とは区別される。院内感染には患者のみならず、医療従事者、訪問者にも適用される。感染抵抗力の低下した患者(コンプロマイズドホスト)に発生しやすいこと、薬剤耐性菌や弱毒菌によるものが少なくないことなどが特徴である。特にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)などの耐性菌によるものが問題となっている。透析室、手術室、がん病棟など抵抗力の低下した患者が多い病棟ではとくに厳重な注意が必要とされる。スタンダードプリコーションと感染経路別予防策で予防対策をおこなう必要がある。
→院内肺炎;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

院内肺炎 Hospital acquired pneumonia
 他の基礎疾患で入院中の患者が,院内感染により発症する肺炎である。院内環境による感染だけでなく,潜伏感染していたものが宿主の感染防御機能の低下により活性化し,発症したものも含まれる。カンジダ・潜伏感染原虫・サイトメガロウィルス等が起因菌となりうる。
→院内感染;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

インフォームドコンセント Informed Consent(IC)
 1982年アメリカ大統領委員会報告書の中で,ICの目的は「患者の健康増進と自己決定権の追求」となっており,「患者の同意だけでなく,医療内容を理解し,自分で選択することにより健康状態がさらに良くなることが目的である」と規定している。

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ウイルス性肝炎 Virus Hepatitis
 ヒト肝炎ウイルスの感染により発症する肝炎のこと。原因ウイルスとしてはA~E,G型が同定されている。A型とE型肝炎は経口感染し,B型,C型は主に血液を介して感染する。
→インターフェロン

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エイズ 後天性免疫不全症候群 Acquired Immunodeficiency Syndrome(AIDS)
 1981年に米国で初めて報告された感染症であり,レトロウイルスに属するエイズウイルス,すなわちヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus: HIV)に感染している状態のうち,細胞性免疫能が極度に低下し,特徴的な2次的疾患を合併した病態。
→逆転写酵素阻害薬;日和見感染症;プロテアーゼ阻害薬;レトロウイルス

疫学的調査
 人の特定集団を対象に疾病率・死亡率等健康に関する事項の発生頻度や,その経時的変化等を統計的に調査し,特定の現象・嗜好・行動等と疾病の因果関係や,疾病のリスクファクターを求める調査。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

エシカルOTC
 エシカルOTCとは米国において処方せん薬とOTC薬の中間医薬品をいい,処方せんがなくても患者に販売することができるが,OTC薬のように宣伝することは禁止されている。日本ではエシカルを単に「医療用」の意味で用いており,要指示医薬品でない医療用医薬品(普通薬)をエシカルOTCと呼ぶことがある。

エッセンシャル・ドラッグ Essential drug
 WHOにより規定された医療サービスに必須な基本的医薬品のことである。WHOは,多くの発展途上国において基本的医薬品が充分供給されていないとし,加盟各国が提出した必須医薬品リストをもとにモデルリストを作成した。

エリスロポエチン Erythropoietin
 体内の血液中に存在し,赤血球の生産をつかさどる重要なホルモンで,糖蛋白からなり,主に腎臓で造られる。腎機能低下時には生産が抑制されるため,この物質の減少が腎性貧血の原因ではないかと考えられている。

エンドポイント Endpoint
 臨床試験で目標とする評価項目。主要設定されたものをプライマリーエンドポイントという。探索目的の臨床試験(通常,第Ⅱ相臨床試験)では,薬効ないしその治験薬の有用性を多面的に調べることが行われるが,検証目的の臨床試験(通常,第Ⅲ相の比較試験)では,評価項目として1つ(またはごく少数)のエンドポイントを予め定めた計画によって行うことが大切である。
→メガスタディ

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オータコイド Autacoids
 生体内に存在し,微量で種々の薬理作用を示すが,ホルモン・神経伝達物質には分類されず,生理的役割も十分には確立されていない物質の総称である。プロスタグランジンやサブスタンスP等をこのように呼ぶこともある。

オーダーメイド医療
 遺伝子レベルで個人の遺伝情報の違いを見出し,その情報をもとに体質の違いなどを予測し,その人に最も適切な治療や疾病の予防を行うこと。これが実現されると,副作用が少なく,効果の高い治療が可能になる。さらに,個人の遺伝情報の違いから病気になりやすい体質を事前に把握し,生活習慣病や癌などの予防や早期治療を行うことが可能になるとされる。

オーダリングシステム Ordering system
 カルテの記入やオーダ(処方せん・検査オーダ)等の医療情報を,直接コンピュータに入力し(発生源入力),その情報をもとに各種医療業務を合理的・能率的に行うことを目的としたコンピュータシステムで,トータルオーダリングシステムとも呼ばれている。

オーファンドラッグ Orphan drug 希少疾病用医薬品
 希少疾患に用いる医薬品の総称で「適応症がわが国では極めて発症例が少ない疾患に対する医薬品で,かつ,医療上の必要性の高いもの」と定義されている。疾病数がおおむね1万以下が対象である。

オリゴ糖(少糖,寡糖) Origosaccharide
 少数(210個)の単糖がグリコシド結合しているものである。単糖で構成されるホモオリゴ糖群と,糖の種類とその結合様式の組み合わせに違いのあるヘテロオリゴ糖群に分けられる。最も単純なオリゴ糖は二糖であり,スクロース・ラクトース・トレハロース・マルトース・セロビオース等が知られている。

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介護保険
 厚生省令で定められた要介護状態にある65歳以上の者又は,要介護状態にある40歳から65歳未満の者で,政令で定める加齢が原因による特定疾患の者について,自立した日常生活を営むことができるように,必要な保健医療サービス及び福祉サービスの給付を行うための保険制度。
→ケアマネージャ

界面活性物質 Surfactant
 リン脂質と特殊な蛋白からできている表面張力を弱める表面張力低下物質のこと。肺胞の表面に分泌されていて表面張力を弱めたり広がった肺が再び縮んでくるのを防いで安定した大きさを維持する働きをしたりする。また,気道の潤滑作用や病態時の痰のすべりをよくする働きもある 。

カイロミクロン Chylomicron
 血漿中に存在するリポタンパクの一種で,外因性のトリグリセリド・コレステロールを運搬する。脂肪食の摂取後血中に一時的に現れるが,空腹時には現れないため,空腹時に現れた時は脂質代謝異常が起きていると考えられる。

活性酸素 Active oxygen
 体内に取り入れられた酸素がエネルギーを生み出す過程で生じるものである。細胞膜等体内の不飽和脂肪酸と結合して,老化・癌・動脈硬化の原因物質として問題となっている過酸化脂質(lipid peroxide)を生成する。
→PDT;SOD

下部消化管内視鏡 Colonscope
 大腸の器質的疾患を診断あるいは治療する目的で製作された内視鏡で,直視式のグラスファイバーを束ねた柔軟性のあるファイバースコープが用いられている。肛門から逆行性に挿入していくもので,S状結腸までを観察する長さ約120cmのS状結腸鏡と,有効長180cmの長い全結腸を観察できる大腸(結腸)鏡ファイバースコープがある。
→ポリープ切除

カリウムチャネル開口薬 Kalium channel open drug
 血管平滑筋細胞のカリウム(K)チャネルを開き,細胞膜の再分極を早めることによって,電位依存性カルシウム(Ca)チャネルを開口しにくくし,血管拡張をきたす薬物である。ニコランジル・ピナシジル・クロマカリム・ミノキシジルがある。Kチャネル開口薬は急性心筋梗塞に使用する際,心筋に対して保護的に作用し,梗塞巣の縮小は期待できるが,急性的に心室細動を起こす恐れがある。

カルシウム拮抗薬 Calcium antagonist
 カルシウムチャネルを介する血管平滑筋細胞・心筋細胞内へのカルシウムの流入を抑制することにより,全身の動脈・冠動脈をはじめ血管平滑筋を弛緩し,心筋酸素供給量を増加させて心筋虚血を改善したり,血圧を下げたりする。冠血管拡張薬・降圧薬・抗不整脈薬として広く用いられている。

肝移植 Liver transplantation
 日本では,1997年臓器移植法が制定され,脳死後ドナーの臓器提供意思がある場合(臓器提供カードに必要事項記入)は,家族の同意を持って,レシピエントに臓器提供する事ができることとなり,1998年信州大学で実施された。先天性胆道閉塞症などの乳幼児・小児に対しては肝移植以外に治療法はなく移植しなければ死は免れない。

ガン遺伝子 Oncogene
 正常な細胞が癌化する場合に癌化の指令を出す遺伝子
→遺伝子診断

環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質) Environmental horm
on
 生体内分泌機能に作用し生殖能力,免疫系,神経系等に影響をおよぼす合成化学物質である。合成樹脂原料や可塑剤として使われているアルキルフェノール類,ごみ焼却施設から発生するダイオキシン類,熱媒体等で使用されているPCB,殺虫剤のDDT,農薬・重金属・食品添加物・医薬品や植物由来エストロゲン類似物質等が知られている。
→ダイオキシン類;DEHP

間質性肺炎 Interstitial pneumonia
 肺の間質における炎症疾患の総称で,限局性とびまん性があるが,一般的にはびまん性間質性肺炎をいう。肺の間質とは,肺胞間(肺胞隔壁),細気管支や血管の周囲等に存在する組織全体を指す。発症の原因としては,感染症・じん肺・ガス吸入・心不全・過敏性肺炎・薬剤性肺炎等の他,膠原病等の全身性疾患に伴う場合がある。乾性咳嗽・労作性呼吸困難の他,急性型では発熱,慢性型では全身倦怠感・チアノーゼ等がみられる。

患者自己鎮痛法 Patient Controlled Analgesia(PCA)
 患者自身の調節による鎮痛法で,術後痛等をもつ患者を対象に,専用器具を輸液ラインに接続し,患者がボタンを押すと一定量の鎮痛薬が静脈内に注入され鎮痛作用を発揮する。

患者用添付文書 Patient Package Insert(PPI)
 薬剤の治療効果を上げ,また副作用による被害を防止するために,医療機関で薬剤と共に患者や家族に配布される文書で,服用上の注意等が記載されている。近年,患者向けにわかりやすい表現で記載されたPPIの必要性が論議され,一歩進んだ患者用「薬の説明書」の重要性が問われている。

感染経路別予防策
 感染力が強く標準的感染予防策(スタンダードプリコーション)で不十分な感染症に対し感染経路の遮断を目的として標準感染予防策に追加される予防策である。感染経路別予防策を追加するべき疾患は以下の通りである。
① 空気感染(飛沫核感染):粒径5μm以下の粒子に付着した微生物による感染経路。長時間空気中に浮遊しており、空調的対策が必要である。結核、麻疹、水痘など。
② 飛沫感染:咳、くしゃみなどによって生じる5μm 以上の飛沫によっておこる感染経路。短い距離を飛び、宿主の結膜、鼻腔粘膜、口腔粘膜に沈着して感染する。飛沫は空中に浮遊し続けることはないので空調的対策は必要とせず、空気感染とは一線を画する。インフルエンザウィルス、ジフテリア、マイコプラズマ肺炎、百日咳、流行性耳下腺炎、溶連菌性咽頭炎、アデノウィルス、風疹など。
③ 接触感染:感染源に直接接触した手や体によって起こる直接接触感染経路と、汚染された媒介無生物(器具、リネンなど)を介して起こる間接接触感染経路とがある。MRSA、腸管出血性大腸菌O-157、赤痢、緑膿菌、A型肝炎ウィルス、単純ヘルペス、ロタウィルス、RSウィルス、ダニ(疥癬)など
→院内感染;院内肺炎;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

肝斑 Chloasma, Melasma
 思春期以降の主に女性の顔面,特に額・上頬部・口の周りに左右対称的に生じる褐色色素斑で,紫外線・妊娠・経口避妊薬の内服等で増悪する。

ガン抑制遺伝子 Antioncogene(Tumor suppressor gene)
 癌は何らかの原因による突然変異によって遺伝子が不活化され細胞の癌化が始まるが,細胞を正常な状態に保ち癌化しないように働く遺伝子。

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キット製剤 Kit preparation
 投薬調製時の負担軽減,細菌汚染・異物混入防止等を目的として,医薬品と医療用具(容器を含む)又は2つ以上の医薬品を1つの投与体系として組み合わせた製剤である。
→ハーフキット製剤;プレミクスト製剤

逆浸透装置 Reverse osmosis system
 濃度差のある溶液を,半透膜を境にして接触させ,濃厚溶液側に浸透圧以上の圧力を加えた時に,水が濃厚溶液から希薄溶液側へ移動することを利用した,水の純度を高める装置である。この原理は,下水や工場廃水の処理・純水の製造・パイロジェン(発熱性物質)の除去等に利用されている。

逆転写酵素阻害薬 RNA dependent DNA polymerase inhibitor
 逆転写酵素はRNAを鋳型として相補的なDNAを合成する酵素である。通常,レトロウイルスが持っており,そのゲノム中にこの酵素の遺伝子がある。逆転写酵素阻害薬は,この酵素を競合的に阻害する薬剤である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はレトロウイルス科に属するRNAウイルスで,遺伝情報をRNAの形で有しているため,HIVが増殖するには宿主細胞に侵入しHIV-RNAをDNAに逆転写することが必要となる。そのためにHIVの化学療法剤として逆転写酵素阻害薬が使用され,ザルシタビン(ddC)・ジダノシン(ddI)・ジドブジン(AZT)・ラミブジン(3TC)等がある。
→エイズ;プロテアーゼ阻害薬;レトロウイルス

強酸性水
 水道水に食塩を微量添加し電気分解して作られる機能水。pH2.7以下,酸化還元電位+1100mV以上という微生物が生存できない環境を作り,更に溶存塩素(有効塩素:30~40ppm)と溶存酸素(20ppm以上)の存在下で相加的な除菌・抗菌作用を示すとされている。アクア酸化水とも言われる。主に食品の洗浄や農薬の補助として使用されるがアトピー性皮膚炎の症状改善や,MRSA除去に効果があるとの研究報告がある。

キラリティー(掌性;しょうせい) Chirality
 ある分子の立体構造において,それとその鏡像が互いに重なり合わない,すなわち鏡像異性体をもちうるという性質のことである。
→光学異性体;対掌体

ギラン・バレー症候群(急性(有)熱性多発性神経炎) Guillain-Barre syndrome(Acute febrile polyneuritis)
 腸あるいは呼吸器感染症に続発する原因不明の急速に進行する上行性の運動神経麻痺である。足の知覚異常に始まり,次いで,足の弛緩性麻痺と脱力が起こり,次第に,腕,躯幹,顔面へと上行し,微熱・球麻痺・腱反射の欠如または減弱・細胞増加症を伴わない髄 液中のタンパク増加を伴う。

禁煙補助剤
 ニコチンを成分とした禁煙補助剤。ニコチン依存を段階的に改善しながら,禁煙に導く。1996年にガム製剤が,続いて1999年に経皮吸収型貼付剤が発売された。現在,ニコチンガムは一般用医薬品(OTC)として流通している。
→生活改善薬

緊急安全性情報(ドクターレター,イエローペーパー)
 特に緊急かつ重篤な情報伝達が必要とされる情報(予期せぬ重大な副作用等)で,厚生労働省薬務局安全課長名で配布の指示がだされ,企業は4週間以内にその薬を納入した医療機関にMRを派遣して,文書の配布,説明を行わなければならない。A4サイズの黄色地の印刷物で,ドクターレター,イエローペーパーとも称される。

菌交代現象 Microbial substitution
 ある種の微生物に代わって他の種類の微生物,特に普通はあまり見られない菌(真菌・緑膿菌等)による病気が進展する現象。抗生物質を与えると感受性菌は死滅するが,その抗生物質に耐性の菌が増殖し,病巣の菌種が交代することである。たとえば肺炎菌による肺炎患者にペニシリンを使っているうち,カンジダが異常に増殖して肺カンジダ症という別な病気が起こることがある。これはペニシリンにより肺炎菌が抑えられ,代わりに真菌であるカンジダが増殖したためである。

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クリアランス Clearance
 各臓器毎にクリアランスが計算されるが,通常は腎臓による血漿クリアランスを指す。それは尿中に排泄される物質Xについて,1分間に何mLの血漿が完全に清掃されたかを示すもので,次式で与えられる。
  Cx = Ux・V/Px (単位は mL/min)
 Cx;クリアランス値,Ux;物質(X)の尿中濃度,V;1分間あたりの尿量,Px;Xの血漿中濃度。この値が大きい場合は,血漿が腎臓を通過する間に物質Xが比較的効率よく排泄することを意味する。

クリティカル(クリニカル)・パス Critical(Clinical)Path (CP)
 作業の流れを把握し,効率的かつ効果的な労力配分を導き出す問題解決技法である。医療現場では,入院中に行う患者指導・検査・手術・投薬・処置・食事等について,各項目毎に作業行程を時系列に一覧表示し,進行・管理を行うことを指すが,作成したスケジュール表自体を呼ぶことも多い。

クレアチニン Creatinine
 クレアチンの脱水物で,生体内では筋・神経内でクレアチニンリン酸から直接,あるいはクレアチンの脱水により生成され,血中に出現し,腎糸球体からろ過され,ほとんど再吸収されずに尿中に排泄される。血清クレアチニン濃度は腎機能障害の指標として有用で,高値を示す場合は腎不全・尿毒症・うっ血性心不全等の疑いがある。

群発頭痛 Cluster headache
 眼窩部,眼窩上部または側頭部に片側性の激しい痛みが,治療しなければ15~180分間持続するのが特徴で,痛みと同側に結膜充血,流涙,鼻閉,鼻汁,前額部と顔面の発汗,縮瞳,眼瞼下垂,眼瞼浮腫がみられることが多い。平均初発年齢は20代後半で,女性よりも男性に多く見られる。発作頻度は1回/2日から8回/日,群発期は一般に3~16週持続する。

クロイツフェルト・ヤコブ病 Creutzfeldt Jakob Disease(CJD)
 大脳・小脳・脳幹神経核・脊髄の退行変性疾患といわれ,脳の海綿状態やアミロイド斑がみられ,亜急性海綿状脳症と称される。1920年Jakob及びCreutzfeldtによりそれぞれ独立して発見された。異常なプリオン蛋白の存在が証明されているため,この異常なプリオン蛋白が病原と考えられるようになり,プリオン病とも呼ばれる。臨床的には,痴呆症を主とする神経症状・錐体外路症状・ミオクローヌス等神経症状を呈する。
→アミロイド;プリオン;BSE

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ケアマネージャ Care manager 介護支援専門員
 平成9年12月17日に公布された『介護保険法』に基づき,「要介護者等からの相談に応じ,要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス又は施設サービスを利用できるよう市町村,居宅サービス事業を行う者,介護保険施設等との連絡調整を行う者であって,要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして厚生労働省令で定める者」と定められている。
→介護保険

経過措置品目
 医薬品が製造中止等の理由で薬価収載からはずれた場合,流通在庫販売のため一定の期間が設けられる。これが経過措置期間で,その対象となっている品目のことをいう。

経管栄養法 Tube feeding
 経口による栄養摂取が不可能な患者に対し,鼻腔あるいは外瘻(胃瘻・空腸瘻)を通じてチューブを挿入し,胃内または空腸内にとどめ流動性栄養物を与える方法である。経腸栄養法(enteral nutrition; EN)とも言い,ミキサー食・糖質やタンパク質をある程度消化した半消化態(low residue diet; LRD)・完全に消化した消化態である成分栄養剤(elemental diet;ED)等が使われている。

蛍光偏光免疫測定法 Fluorescence Polarization Immunoassay(FPIA)
 蛍光偏光により薬物の濃度を測定する方法。一定量の蛍光色素で標識した薬物と試料中の薬物は,その抗体に対して競合的に反応し,抗原-抗体結合物をつくる。この蛍光標識薬物は,フリーの状態ではその分子運動が大きいため,偏光を当てて発する蛍光に偏光性をもたない。しかし,抗体と結合すると分子運動が抑制され偏光性が出るようになる。ダイナボット社のTDXはFPIA法であり,多くの施設で利用されている。

警告 Warning
 医薬品の使用にあたり,致死的または極めて重篤な副作用が発現する場合,また副作用発現が極めて重篤な事故につながる可能性のある場合,添付文書に記載される。
→添付文書

劇症型A群レンサ球菌感染症
 A群溶連菌(Streptococcus hemolyticus)によって引き起こされる劇症感染症で,咽頭痛や発熱等の風邪に似た症状・全身倦怠・筋肉痛・嘔吐等で発症し,その症状が治まった頃に突然,手足や腰の筋肉が痛み出し,急激に軟部組織壊死・多臓器不全・ショックに陥り,予後は不良である。

ケースコントロール研究(症例対象研究) Case control study
 疾患を有するケース群と,その疾患に罹患していないコントロール群とを比較し,以前の曝露の差異を見つけ出す研究である。例:静脈血栓にかかっている複数の若い女性を選び,静脈血栓にかかっていないコントロール群と比較し,以前の経口避妊薬使用の差異を見つけ出す。
→疫学的調査;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

血液透析 Hemodialysis(HD)
 比較的単純な半透膜の拡散現象を利用したもので,半透膜を介して透析液を接触させ,血液老廃物や毒素を除き,電解質・浸透圧の異常を正常化させた後,体内にかえす透析法である。透析器の備えるべき基本的な機能は,蛋白質代謝最終産物の除去・血清電解質組成の正常化・血液酸塩基平衡の正常化・体内過剰水分の除去等である。
→人工透析;CAPD

血管リモデリング Vascular remodeling
 血管への種々のストレスに対し,血流状態を正常に保持するために血管構築が変化を起こす現象。生体の適応現象として血液による各臓器・組織への血液成分・栄養素・酸素の供給を維持するために血管の再構築(リモデリング)が行われるが,その限界を超えると適応破綻を引き起こし,血管病変や循環障害として認められるようになる。

血清総蛋白 Serum Total Protein(TP)
 血清中の蛋白各成分の総和で,主成分はアルブミンとグロブリンである。血清総蛋白濃度は年齢と共に増加し13~14才で成人量になり,高齢になると再び減少してゆく。脱水症状・慢性伝染病等の時に増加し,血漿蛋白質の漏出時・栄養不良時・肝機能障害時には減少する。

血清ビリルビン Serum Bilirubin
 胆汁に含まれる褐色の色素物質。脾臓で赤血球に含まれていたヘモグロビンから作られ(間接ビリルビン),肝臓で排泄するためにかたちを変えられて(直接ビリルビン)胆汁に加えられる。血液中には間接と直接の両方が見られ,両方を合わせた値は総ビリルビンと呼ばれる。

血中尿素窒素 Blood Urea Nitrogen(BUN)
 尿素は蛋白代謝の終末産物であり肝で合成される。一般に血清を検体とするが,慣用的に血中の呼称が用いられ腎機能の指標として広く利用されている。高値では腎機能障害,腎不全,尿路閉塞,脱水症,低値では肝不全,妊娠の疑いがある。

ケミカルメディエーター(化学伝達物質) Chemical mediator
 炎症やアレルギーを起こす刺激を生体に与えた時にマスト細胞等から遊離される物質の総称でヒスタミン・アセチルコリン・セロトニン・エンケファリン・ロイコトリエン・トロンボキサン等がある。

ケモハザード Chemohazard
 化学物質による障害だが主に癌化学療法剤による細胞障害等の危険性を指す。多くの抗癌剤は発癌性・変異原性をもつといわれ,欧米では厳しい取り扱い基準が設けられているが,日本ではその危険性の認識は低いのが現状である。
→バイオハザード;細胞毒性医薬品

減感作療法 Hyposensitization therapy
 主に即時型アレルギー疾患(気管支喘息・アレルギー性鼻炎等)の免疫学的治療として行われるアレルゲンに対する過敏反応を軽減する治療法である。ごく低濃度のアレルゲン量から開始し,漸増しながら定期的に抗原を投与(一般に注射)する。脱感作ともいう。

原発性肺高血圧症 Primary pulmonary hypentersion
 発生機序の不明な肺高血圧症(肺動脈圧 25mmHg以上の病態)を指す。中小肺動脈が侵され,内膜過形成およびその結果として血管腔狭窄か認められる閉塞性疾患で,進行性,難治性である。自覚症状出現後数年以内に死亡する事が多い。死因は右心不全や突然死である。

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光学異性体 Optical active isomer
 互いに鏡像関係にある光学活性な異性体である。融点・溶解度等の物性値,化学反応性はほとんど同一であるが,平面偏光を同じ角度,互いに逆方向に回転させる一対の化合物である。光学異性体には①不斉炭素原子を有するもの②分子不斉によるもの③N, S, Se, Si, P等4価の原子としてもつもの④金属が不斉原子であるもの(錯体)等がある。
→キラリティー;対掌体

交換輸血 Exchange transfusion
 有害物を含む血液を除去し,正常な血液を輸血することをいう。交換輸血の目的は,①ビリルビンの除去②貧血の改善③抗体及び感作された赤血球の除去であり,血清ビリルビン値が20mg/dlを越える時適応される。交換量は小児で全血量の2倍を目安とされる。

抗グロブリン試験(クームス試験) Antiglobulin test (Coombs' test)
 抗赤血球自己抗体を検出する目的で考案された検査で直接試験と間接試験がある。自己の赤血球に対する抗体が産生されて,赤血球破壊が起こる疾患である自己免疫性溶血性貧血の診断確定には不可欠の検査である。

交叉耐性 Cross tolerance
 耐性は特定薬剤の反復適用によって成立するものであるが,いったん耐性を獲得した細菌は,その薬剤ばかりでなく,これと化学構造あるいは薬理作用の類似した薬剤,さらに,かなり異なった別の薬剤に対しても感受性・効果の低下あるいは消失を示すことがある。このように他の類縁薬剤に対する獲得耐性から得られた薬剤耐性のことをいい,ある薬剤に耐性となった菌が他剤にも耐性を示す時,この2種の薬剤間に交叉耐性があるという。

高周波滅菌法 High-frequency sterilization
 高周波を直接照射し,発生する熱により微生物を殺滅する。通例水培地・試液・液状医薬品で高周波照射に耐えるものに対し,915又は2450メガヘルツの高周波が用いられる。

光線過敏症(日光過敏症) Photosensitivity
 日光によって発生し悪化する皮膚疾患の総称である。光線過敏症には内因性と外因性があり,前者はメラニン産生の低下による白皮症・フェニルケトン尿症・DNA障害やポルフィリン及びニコチン酸代謝異常が原因する諸疾患等で,遺伝が関係することが多い。後者は光接触皮膚炎・光過敏性薬疹である。光増感物質の皮膚への接触,又は経口摂取により,日光の照射部に日焼け・湿疹・扁平苔癬等を生じる。

硬膜外ブロック Epidural block
 癌性疼痛管理に使用される代表的な神経ブロックの1つで,硬膜外腔に背部よりブロック針を刺入し,局所麻酔薬を注入することで脊髄神経の可逆遮断が可能となる。薬液を1回注入する方法だけでなく,ブロック針を通してカテーテルを硬膜外に留置し,薬液を持続的に注入する方法もあり,後頭部から足先の痛みまで対応できる利点がある。特に持続硬膜外ブロックは消失が困難な癌性疼痛のコントロールに有利な方法である。

5-HT1A受容体作動性薬 5-HT1A receptor agonist
 脳では,5-HT1A 受容体は縫線核・海馬・大脳皮質等に広く分布し,特に海馬・中隔野・扁桃体等,大脳辺縁系に密度が高く,感情や不安に密接に関連している。5-HT1A 受容体作動性薬は,抗不安作用・抗うつ作用を有する薬物で,ブスピロンやダンドスピロン等がある。その効果はベンゾジアゼピン系薬剤と同等であり交差依存性がなく副作用も少ないとされている。

5-HT2 受容体拮抗薬 5-HT2 blocker
 セロトニン(5-hydroxy tryptamin;5-HT)のレセプターに拮抗し,血小板凝集・血管収縮を抑制する作用を有する薬剤で,塩酸サルポグレラートは慢性動脈閉塞症の潰瘍・疼痛・冷感等の虚血性諸症状を改善したり,精神分裂病の陰性症状を改善する作用もある。

5-HT3受容体拮抗薬 5-HT3 blocker
 抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)の投与により引き起こされる悪心・嘔吐を抑制する薬物でオンダンセトロン・グラニセトロン・アザセトロン・ラモセトロン等がある。抗悪性腫瘍薬は消化管粘膜に存在する腸クロム親和性細胞から5-HT(セロトニン)を遊離させ,求心性の腹部迷走神経にある5-HT3受容体に結合させる。あるいは第4脳室最後野にある化学受容体引金帯(CTZ)からneurotransmitterを介して刺激を伝達するため,嘔吐中枢を作動させ悪心・嘔吐を引き起こすと考えられている。

5-HT4 受容体作動性薬 5-HT4 receptor agonist
 消化管の壁内神経叢のコリン作動性神経に働き,アセチルコリン(ACh)の遊離を促進することにより消化管平滑筋を収縮させ,消化管運動亢進作用を発現する薬剤であり,逆流性食道炎・機能性消化不良等の消化管障害及び疾患に有効である。5-HT4受容体を刺激する薬剤にはメトクロプラミドや選択的作動性薬としてモサプリドがある。

国際疾病分類 International Classification of Diseases(ICD)
 WHOが定めている疾患・傷害・死因の分類体系であり,統計作業の便のため数字コードが付されており,原則として10年毎の改訂を目指している。ICDによって世界各国が疾病の共通分類を持つことになり,多くの疾病比較検討に極めて有用である。

コクラン共同計画  The Cochrane Collaboration (CC)
 無作為化比較試験(RCT)を中心に,世界中の臨床試験の収集,評価,統計学的統合(システマティックレビュー)を行い,その結果を医療関係者や政策決定者,消費者に届け,合理的な意思決定に供することを目的とし,Evidence-based medicine(EBM)の情報インフラストラクチャー。1970年代にすべての医学的介入についてRCTが必要で,その情報が要約,最新化,必要な人に伝えられるべきと力説したアーチー・コクランの名を冠した。
→システマティックレビュー

骨粗鬆症 Osteoporosis
 骨絶対量の減少を生じているが,骨の質的変化を伴わない状態をいう。骨は絶えず吸収・形成されているもので,吸収率と形成率に差を生じ,骨形成が負の平衡となれば骨粗鬆症が起こる。老化現象の1つで骨折しやすく,骨が曲がったり腰痛が起きたりする。加齢と共にその発症率は増大し,女性に多くしかも閉経後に急増する。

コホート研究 Cohort study
 ある規定された集団の対象者を同定し,その集団を時間経過のなかで追跡し,結末の差異を捜す研究である。コホート研究は,ある曝露と別の曝露との比較に用いられることもあるが,通常は曝露者と非曝露者を比較するのに使用される。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

コロニー刺激因子 Colony Stimulating Factor(CSF)
 骨髄細胞培養時にコロニー形成を促進する物質として発見された造血因子の1つである。骨髄中の各種血球の前駆物質に働いて顆粒球やマクロファージ等への分化誘導増殖を促し,また産生された血球の末梢血への流出を促進する。顆粒球やマクロファージへの分化増殖を促すものとして,それぞれG-CSF,M-CSF等が知られている。

コントロールドリリース Controlled release
 ドラッグデリバリーシステム(DDS)の1つで,医薬品を製剤学的に加工して主薬の放出を制御することである。ワックスマトリックスやフィルムコーティングにより徐放化した内用薬(MSコンチン・アダラートL等)や経皮吸収型貼付薬(フランドールテープ・ニトロダームTTS等),生体内分解性高分子化合物でホルモン物質をマイクロカプセル化した注射薬(リュープリン)等がある。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;持続性製剤;ターゲッティング療法;プロドラッグ;DDS;TTS

コンプロマイズド ホスト Compromised Host
 易感染性宿主のこと。何らかのに原因により感染宿主の防御機構が破綻し,健康人に比較して本来の感染抵抗性が著しく低下している状態。
院内感染;院内肺炎;感染経路別予防策;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

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在郷軍人病 Legionaires disease
 1976年,フィラデルフィアで開かれたアメリカ在郷軍人会の大会中に発生した肺炎。起炎菌は大部分がLegionella pneumophilaでエリスロマイシンにだけ好感受性を示し,レジオネラ症,ブロードストリート肺炎ともいわれる。高熱・悪寒・胸痛・咳・ときに幻覚症状もみられる。
→レジオネラ菌

在宅医療 Home medical
 在宅ケアとは異なり自宅で種々の医療を受けること。薬剤師の職能を発揮できるものに,在宅中心静脈栄養法・在宅経管栄養法・在宅悪性腫瘍患者の化学療法及び鎮痛療法がある。

在宅患者訪問薬剤管理指導業務
 寝たきりや通院が困難な在宅の患者に対して薬剤師が訪問して薬剤の保管・管理状況や服薬状況を把握し薬歴管理,服薬指導,治療効果や副作用の確認などを医師,看護師等と情報交換しながら行う業務。

サイトカイン Cytokine
 血球系細胞から分泌される種々の高分子生理活性物質の総称で,免疫系や生体防御系に関与している。リンパ球が抗原等の刺激を受けた時に放出されるリンフォカインとマクロファージや単球等の食細胞が分泌するモノカインとに大別される。

サイトプロテクション Cytoprotection
 胃粘膜細胞保護作用のことで,主にプロスタグランジンの胃酸分泌抑制作用とは無関係の胃・十二指腸における抗潰瘍作用のことである。しかし現在では,胃・十二指腸のみならず,肝臓,膵臓その他の臓器における各種の障害から組織を保護する作用も広義のサイトプロテクションと呼んでいる。

サイトメガロウイルス Cytomegalovirus(CMV)
 ヒトヘルペスウイルス(HHV)の一種。ヒトヘルペスウイルスには,1型から8型まであり,ヒトヘルペスウイルスの5型(HHV-5)にあたる。

サーカディアンリズム Circadian rhythm
 日周期リズムのことである。高等な生物の機能は一定なものではなく,1日のうちでも内外環境に対応して色々変化する。昼間は交感神経が,夜間は副交感神経の働きが優位となり,睡眠・体温・血圧・消化・血液性状等の変化は顕著で,この変化を日内変動という。
→時間薬理

細胞毒性医薬品 Cytotoxicity drugs
 細胞の核の中に入ってDNAに影響を与える医薬品のことである。抗悪性腫瘍薬や免疫抑制薬の多くとビタミンA誘導体の一部がこの範疇に入る。
→ケモハザード;バイオハザード

杯(さかずき)細胞
 外分泌線を形成する細胞の一種で一個の細胞でも腺として機能する単細胞腺(unicellular gland)に分類され,気管支や長官の粘膜に存在している。気道疾患に罹患すると,中枢気道では杯細胞の過形成が,末梢気道では杯細胞の過形成及びクララ細胞から杯細胞への異形成が生じ,粘液(痰)の過分泌が生じると言われている。

サテライトファーマシー Satellite pharmacy
 院内中央の薬局ではなく病棟毎に設けられた薬局。病棟における薬剤の管理・適正使用の指導,入院患者の服薬指導・薬歴管理,処方箋・注射指示の一次チェック機能を担う。施設により注射調剤業務・混合・内服薬調剤を行うこともある。

擦式手指消毒剤
 直接手掌にとり,乾燥するまで手指に擦り込んで消毒する方法に使用する速乾性の消毒剤のことである。塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジン等の薬剤・アルコール類・皮膚保護剤が配合されている。アルコールは,広い範囲の微生物に有効で速効的効果が期待でき,常に新しい液で消毒するので濃度低下や細菌汚染の心配がない。
→手指消毒法;スクラブ法;スワブ法;ベースン法;ラビング法

サルコイドーシス Sarcoidosis
 多臓器にわたる肉芽腫性疾患で,原因不明の病気。両側肺門腫脹・肺野病変・ブドウ膜炎・網膜浸潤等の症状を呈し,視力障害から失明する場合もある。治療にはステロイドホルモンの投与が有効であるが難治性症例もある。感染・異物反応・自己免疫説等がある。

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ジェネリック医薬品 Generic Medicine
 新薬の再審査期間及び特許期間経過後に市場に出される商品で,後発品として位置付けられるものである。新医薬品はブランドネーム(brand name)で処方されるが,ジェネリック医薬品は一般名で処方されることが多いので,ジェネリックの略称で呼ばれている。

紫外線滅菌法 Ultraviolet light sterilization
 紫外線の殺菌効果を利用する滅菌法であり,ほとんどの微生物に有効で,芽胞にも効果を示す。通例,200~300nmの紫外線を用い,ガラス製・金属製・ゴム製・プラスチック製・繊維製の物品,及び施設・設備・水・医薬品等に適用する。

時間薬理
 時間生物学は生物の生理機能に時間概念を導入することで,生物固有の内因性周期性変動を明らかにした。この時間生物学に薬理学領域の時間概念を組み込んだ学問を時間薬理学という。薬理作用の時間的変動を明らかにし,薬の効果的な投与時間の設定や,副作用の軽減を目的とした投与法が研究されている。
→サーカディアンリズム

シクロオキシゲナーゼ Cyclo-oxygenase (COX)
 リン脂質からアラキドン酸を経由し,プロスタグランジン(PG)合成に至る代謝経路で重要な役割を果たす律速酵素で,PG合成酵素と呼ばれる。COXには,COX1とCOX2という2種類のアイソザイムが存在する。COX1は,胃・腎臓・血小板において,生体維持に関わるPGを産生しているものと考えられる。現在使用されている酸性非ステロイド性抗炎症薬(インドメタシン等)の多くは,COX2よりもCOX1を強く抑制する。
→COX-2選択的阻害薬

自己血輸血 Autotransfusion
 手術等で必要となる輸血を患者本人の血液を使用して行うことである。一般の同種血輸血に比べて,①輸血後感染症防止②同種抗体生成防止③交差試験の必要がない④輸血後GVHDの予防⑤アレルギー反応の予防⑥稀な血液型の輸血等の利点がある。自己血輸血には,貯血式(液状貯血式・冷凍貯血式),希釈式,回収式がある。
→GVHD

ジスキネジア Dyskinesia
 抗精神病薬の服用に伴って起きる不随意運動の総称で,自分の意志に関わりなく次以下のような症状を呈する。舌鼓を繰り返す、舌を突き出す、口をすぼめる、唇を尖らせる、口をもぐもぐと動かす、歯をくいしばる、まばたきを繰り返す、まぶたが開けにくい、指を繰り返し曲げ伸ばしする、腕をねじるような動きをする、体をくねらせる、ねじるような動きをする。
→遅発性ジスキネジア

システマティックレビュー
 通常は臨床試験論文をデータベース検索や参照文献リストなどによって収集し,そのデータを総括して評論すること。それに対して,コクラン共同計画におけるシステマティックレビューとは,ある目的とする医学的介入についてのエビデンス(化学的根拠)を明らかにするために,世界中からの論文をあらかじめ定めた基準で網羅的に収集し,批判的評価を加え,要約し,公表するための方法である。
→コクラン共同計画

ジスルフィラム様作用 Disulfiram-like action
 嫌酒薬であるジスルフィラム投与後,エタノールを摂取するとアセトアルデヒド濃度の上昇により顔面紅潮・頻脈・頭痛等の症状が発現する。これと同じような作用をジスルフィラム様作用と言い,一部の糖尿病薬やセフェム系抗生物質等で現れることがある。

持続性製剤(持効性製剤) Sustained-release preparation
 1回の投与で薬物の有効血中濃度を長時間保つようにした製剤で,持効性製剤ともいう。経口持続性製剤の共通点は薬物の消化管内における放出を調節することである。製剤として徐放性製剤(Sustained release)・反復放出性製剤・放出制御製剤(Controlled release)等が開発されている。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;コントロールドリリース;ターゲッティング療法;プロドラッグ;DDS;TTS

市中肺炎 Community-acquired pneumonia
 通常の社会生活を営んでいる人に発症する肺炎のことをいう。優れた抗生剤・抗菌剤の登場により感染症の治療成績は著しい向上をみせたにも係わらず,いまだに高齢者や合併症を有する患者に対し高い死亡率を有している。
→院内肺炎

シックビル症候群 Sich Building Syndrome(SBS)
 ビルの中で換気不足により有害物質にさらされ,めまい,吐き気,頭痛,眼・喉・鼻の痛み,平衡感覚の失調を訴える健康上の問題をシックビル症候群という。原因は合板等に含まれるホルムアルデヒドやCO,CO2,揮発性有機化合物等,複数の汚染物質が他の物理的,心理的要因と結びついて様々な症状を起こさせる。

市販直後調査
 新医薬品販売後6ヶ月に期間を限定して行われる,医薬品の副作用・感染症報告制度のこと。製薬企業が医療機関に対して確実な情報提供や注意喚起を行い,重要な副作用及び感染症の情報を収集する。それらの情報をもとに必要な安全対策を実施することで,副作用等の被害を最小限にすることを目的としている。

脂肪乳剤 Fat emulsion
 腸からの栄養摂取が不十分または不可能な患者へ,経静脈的に栄養補給するための輸液製剤で,精製ダイズ油を精製卵黄レシチンで乳化した微細で安定な乳剤である。末梢及び中心静脈より高カロリー補給が可能で,窒素平衡の改善・必須脂肪酸の補給に効果がある。

重大な副作用
 治療が遅れると死に至るおそれのある副作用のことで,薬剤師法の25条の二が施行されて以来,この副作用の初期症状を患者に情報提供し,重大な副作用を回避する試みがされている。
→添付文書;副作用;副作用の重篤度分類基準

手指消毒法
 手指消毒法には,①ベースン法(浸漬法)②スワブ法(清拭法)③スクラブ法(洗浄法)④ラビング法(擦式法)の4種類が知られている。
→擦式手指消毒剤;スクラブ法;スワブ法;ベースン法;ラビング法

腫瘍マーカー Tumor marker
 悪性腫瘍から高い特異性を持って産生されるが,正常細胞や良性疾患ではほとんど作られない物質で,腫瘍診断に役立つものをいう。α-フェトプロティン(AFP)・癌胎児性抗原(CEA)・シェローマタンパク・異所性ホルモン・アイソザイム等がある。

使用期限 Term of application
 製品を開封しないで指定された保存条件下においた場合に品質が保証される期限。製品によって使用期限の設定期間はさまざまであるが,3年を超えて安定性が保証された医薬品は使用期限の表示義務はない。3年未満の場合は使用期限のほか,パッケージやラベル等に「記」の表示が義務づけられる。

照射滅菌法 Radio sterilization
 滅菌方法の1つで,透過性に優れたガンマ線を照射する放射線滅菌法,250~280nmの紫外線を照射する紫外線滅菌法,電子レンジと同様の高周波を照射する高周波滅菌法がある。

初回通過効果 First-pass effect
 経口投与された薬物が循環系に入るまでに,消化管・肝臓で受ける代謝反応によって体循環に出現する薬物量が少なくなるような効果。この効果が大きいと,吸収率が100%でもバイオアベイラビリティが100%にならない。注射・口腔粘膜・直腸内投与ではこの効果はみられない。

食道静脈瘤硬化療法 Sclero-therapy for esophagus varices
 肝硬変等で門脈圧亢進症が発生すると,門脈系から上大静脈系の副血行路として食道静脈は拡張・蛇行し食道静脈瘤が形成される。この食道静脈瘤に対して行う内視鏡的止血法で,内視鏡下に直接静脈瘤あるいはその周囲を穿刺して硬化剤を注入する方法である。硬化剤として5%オレイン酸エタノールアミン・1%ポリドカノール等を用いる。

シーリングエフェクト(有効限界・天井効果) Ceiling effect
 一般の薬では投与量を増やしていくと,一定の量以上では治療効果は頭打ちとなり副作用ばかりがでてしまうことを指す。モルヒネにはシーリングエフェクトはなく,痛みに応じて徐々に増量することによってどこまでも鎮痛効果が期待できる。

新型インフルエンザ Pandemic influenza
 インフルエンザウイルスが変異することで,これまでに,ヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが,ヒトへ感染するようになり,そしてさらにはヒトからヒトへ感染するようになったインフルエンザウイルス。これまでにスペインインフルエンザ,アジアインフルエンザ,香港インフルエンザ,ソ連インフルエンザが世界的に流行し多くの死者を出している。従来のインフルエンザと異なるため,ヒトが免疫を持っていない,ワクチンや治療薬が効果を示すか未知数であることから,急速に世界的流行(パンデミック)することが考えられる。最近では鳥インフルエンザの新型への変異が懸念されている。
→鳥インフルエンザ,パンデミック

人工透析 Artificial dialysis
 腎障害によって生じる血中有害物質の停滞・体液平衡の異常に対して,浸透圧差を利用して有害物質を排除し,体液組成の正常化をはかる手段である。腎機能が著しく低下した時(腎クリアランス値10mL/min以下)に適用される。透析療法には,半透膜として生体膜を利用する腹膜透析法(PD)と人工膜を用いる血液透析法(HD)に大別される。

人工涙液 Artificial tear solution
 涙液の流量が減少している患者の角膜損傷を防ぐ目的で用いられる点眼用液であり,組成・性状において,物理化学的にも生物学的にも正常涙液に極めて近い性質を有する無菌的な点眼薬である。涙液減少症・結(角)膜乾燥症・乾性角結膜炎等に用いられている。

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スクラブ法
 手指消毒法の一種で洗浄法とも言われている。洗浄液入りの消毒剤と水を使って手指を洗いながら消毒する方法で,ブラシなどを併用することが多い。この方法は"洗ってから消毒する"という消毒の基本操作が1回で行えるが,洗浄中に泡が空中に飛散するので,清潔区域で殺菌力の弱い洗浄剤を使用するとかえって汚染をひろげることもある。
→擦式手指消毒剤;手指消毒法;スワブ法;ベースン法;ラビング法

スタンダードプリコーション Standard Precautions 標準予防策
「患者の血液・体液や患者から分泌排泄されるすべての湿性物質(尿・痰・便・膿)は感染症のおそれがある」とみなして対応する方法。これらの物質に触れた後は手洗いを励行し,あらかじめ触れるおそれのあるときは,手袋,エプロンなどを着用するというのがその基本となる。この予防策はすべての患者に適用される。
→院内感染;院内肺炎;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

スティーブンス-ジョンソン症候群 Stevens-Johnson syndrome
 スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群:SJS)は,重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされており,高熱とともに口唇,口腔,眼結膜,外陰部に高度の発赤,びらん,出血などの粘膜病変が,さらに全身の皮膚に紅斑,水疱,びらんが認められる重篤な全身性疾患である。初期症状は,発熱,左右対称的に関節背面を中心に紅斑(target lesion等)が出現し,急速に紅斑の数を増し,重症化するにつれ,水疱,びらんを生じ,融合する。眼,口腔粘膜,外陰部などの粘膜疹を伴うことも多く,検査所見では白血球増多,赤沈亢進,CRP陽性などを示す。発熱などの全身症状とともに,多形滲出性紅斑様皮疹(target lesion),広範な粘膜疹が急激に生じることにより診断は困難ではない。呼吸器障害(肺炎等)や肝障害等の合併症を来し,その死亡率は6.3%との報告がある。
スティーブンス・ジョンソン症候群は単純疱疹ウイルス,肺炎マイコプラズマ,細菌,真菌等の種々のウイルスや細菌による感染症,医薬品,食物,内分泌異常,悪性腫瘍,物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応(III型アレルギー)と考えられているが,医薬品の副作用として出現する場合が多い。文献によるとスティーブンス・ジョンソン症候群の59%は医薬品が原因と推定されたとする報告がある。
→中毒性表皮壊死症

スワブ法
 手指消毒法の一種で清拭法ともいう。綿球またはガーゼに消毒剤を浸し,皮膚面を拭き取ることによって汚染を取り去り,清浄にするとともに消毒する方法。清拭消毒には消毒用エタノールが多く用いられる。創傷部位・術野および注射部位などの皮膚消毒に用いられている方法であるが,手指消毒法にも適用される。皮膚と消毒液が一定時間接触していなければ消毒効果は期待できない。
→擦式手指消毒剤;手指消毒法;スクラブ法;ベースン法;ラビング法

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生活改善薬 (Lifestyle drug,Amenity Medicine)
 生活改善薬とは,「命にかかわる病気や症状の治療のために使う薬ではなく,その人の生活の質を高める薬」のことで,アメリカでは「ライフスタイル・ドラッグ」とか「アメニティー・メディシン」と呼ばれている。禁煙補助薬,勃起不全治療薬,経口避妊薬,発毛剤などが,これにあたる。
→禁煙補助剤;低用量ピル;AGA;ED

セカンド・オピニオン Second opinions
 患者が自分の疾患について,受診している担当医師以外の医師から診断,治療方針などの意見を求めること,あるいはその意見。担当医師に「すべてを任せる」という従来の医師患者関係を脱して,複数の専門家の意見を聞くことで,より適した治療法を患者自身が選択していくべきと言う考え方に沿ったもので,アメリカなどで広く普及しているが,より良い治療を受けるための患者の権利として日本でも広がりはじめている。

生体成人呼吸窮迫症候群 Adult Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
 既往に肺の基礎疾患がなく,突然の全身的・局所的重篤な侵襲により,高度な呼吸困難・低酸素血症・両側びまん性肺陰影を呈することを特徴とする病態で,病因論的には肺毛細血管の透過性亢進を機序とする1種の非心原性肺水腫である。

生物学的半減期 Biological half life
 生体内に入った化学物質が,血液中,その他の臓器,または生体内より代謝排泄されて最初の濃度の1/2になるまでの時間のことである。化学物質の蓄積性の指標になる。

選択毒性 Selective toxicity
 化学療法において,ある薬物が感染した細胞や癌化した細胞には強い毒性を示すが,宿主の正常な細胞にはほとんど有害な作用をおよぼさないことをいう。選択毒性の機序として,細胞の構造の違いや細胞の代謝系の差などが知られている。

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ) ST.John's Wort(SJW)
 主にヨーロッパから中央アジアにかけて分布している多年生植物「セイヨウオトギリソウ」であり,これを含有する製品はうつ病や不安障害に効果があるとされ,米国や欧州で広く流通し,わが国においても,いわゆる健康食品として流通している。これらを摂取することにより,薬物代謝酵素であるチトクロームP450,特にサブタイプであるCYP3A4 ,CYP1A2 が誘導されることが知られており, SJWと医薬品との相互作用による有害事象が報告されている。

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ダイオキシン類 Dioxins
 環境ホルモンの代表的物質であるダイオキシン類は多くの異性体をもつポリ塩化ジベンゾ-P-ジオキシン類及びポリ塩化ジベンゾフラン類の総称で,化学物質の合成過程や燃焼過程で非意図的に生成される。ダイオキシンの毒性は,急性毒性の他に,発癌性・催奇形性等の毒性が報告されている。
→環境ホルモン;DEHP

対掌体(鏡像体) Antipode, Enantiomer
 旋光性をもつ物質には,一般に右旋性化合物と左旋性化合物が存在し,両者の立体構造は重ね合わすことができず,右手と左手との関係になっている。このような一対の化合物を互いに対掌体という。対掌体は旋光性の方向だけが反対で,旋光度の絶対値・沸点・融点・種々な溶媒に対する溶解度等全く同じである。生物に対した場合にも,味覚・生理作用等の性質は同じではない。(ex.D-アスパラギンは甘く,L-アスパラギンは無味)
→キラリティー;光学異性体

代替医療(だいたいいりょう)
 鍼,灸,ハーブ,カイロプラクティス,マッサージ療法,気功,など伝統的医療の枠外にある医療を総称する言葉。代替医療を行っていることを主治医に伝えない患者が多いことが問題となることがある。

ターゲッティング療法 Targeting therapy
 ドラッグデリバリーシステムの1つで薬物を体内の特定臓器・組織を標的にして送達させ治療する方法である。例えば,脂肪微粒子リピッドマイクロスフェアーは,従来脂肪輸液として用いられたが,静注後損傷を受けた血管や動脈硬化部位に選択的に移行する特徴を有している。この性質を利用して,プロスタグランジンE1を含有させた製剤は閉塞性血管病変や虚血病変に臨床応用されている。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;コントロールドリリース;持続性製剤;プロドラッグ;DDS;TTS

建値制度
 医薬品メーカー、卸、医療機関の3者の取引に導入された制度の通称で、92年4月から全面実施されている。「建値制度」導入前はメーカーと医療機関の交渉で決められた納入価格で卸が納入するという方式で、卸の利益はメーカーの値引き補償制度によるものであったが、「建値制度」導入後はメーカーが一定の仕切価格で医薬品を卸すため、卸は医療機関との直接交渉により決定する価格によって売買利益を得ることとなった。

ターミナルケア Terminal care
 現代の医療では治癒の見込めない患者を対象に,患者の苦痛の排除(痛みの緩和など)を中心に,死にゆく人の最後を人間らしく看とることに重点をおいたケアのこと。ターミナルケアの対象は、末期がん患者だけではなく、エイズや筋ジストロフィー症などの難病に罹患している患者や一人暮らしで孤独に耐えている高齢者なども含まれる。
→パリアティブケア;ホスピス

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治験審査委員会 Institutional Review Board(IRB)
 治験(医薬品の臨床試験)実施計画書等の審査を行うため医療機関毎に設置された委員会。IRBは本来,その治験の倫理的・科学的妥当性を医師(研究者)個人としてではなく,その医療機関全体が社会に対して保証するという意味合いから設置されている。医師個人の科学的論理がたとえ素晴らしいものでも,第三者の了解が必要であることから,構成委員には「少なくとも一人の医学,歯学,又は薬学の専門家以外の委員を含めること」としている。
→GCP

治験薬 Investigational drug
 厚生労働大臣に医薬品の製造承認を得るために,臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施対象とされる薬物。①未発売医薬品で,開発段階にあるものの製造承認・発売許可申請に必要な臨床成績を収集する目的②既発売医薬品の適用範囲を拡大するため,あるいは有効性を証明するために臨床成績を収集する目的,の2種類がある。

致死量 Lethal Dose
 死に至る可能性のある用量。毒性を示す指標として用いられ,通常,50%致死量(LD50)で表すことが多い。LD50とは動物実験で実験動物を50%死亡させる用量。

遅発性ジスキネジア Tardive dyskinesia
 ドパミン遮断作用の強い抗精神薬の長期投与によって引き起こされる無意識な口のもぐもぐ運動,舌の回転・出し入れ運動等で,本人はそれほど意識していない。難治性で,一部は非可逆性であり,大脳基底核のドパミン受容器の感受性過敏が原因と考えられている。
→ジスキネジア

チモール混濁試験 Thymol turbidity test(TTT)
 血清とチモール飽和バルビタール緩衝液を混合し,生成する混濁を測定する方法で,チモール・γ-グロブリン・リポ蛋白が混濁に関与する。免疫グロブリンM(IgM)は反応促進効果が大きい。急性肝炎・慢性活動性肝炎・肝硬変等で高値を示し障害度がわかる。

中毒性表皮壊死症(ライエル症候群;Lyell) Toxic Epidermal Necrolysis(TEN)
 中毒性表皮壊死症(TEN)は,ライエル症候群(Lyell syndrome)とも呼ばれ,ほぼ全身に及ぶ広範囲な紅斑,水疱,表皮剥離,びらんをきたし,表皮細胞の全層性壊死性変化を本態とする最重症型薬疹である。90%以上は薬剤が原因と推定され,スティーブンス・ジョンソン症候群から移行して中毒性表皮壊死症に至ることもある。初期症状は,発熱や腋窩,外陰部,体幹などに広範囲な紅斑の出現などで,その後,急速に水疱を生じ,水疱は破れやすく(ニコルスキー現象),全身びらん症状を呈する。II度熱傷に似て,疼痛も著明である。検査所見では血液,肝,電解質などに異常を認めることが多い。多臓器障害の合併症(肝障害,腎障害,呼吸器障害,消化器障害等)を来し,死亡率も高く20~30%とする報告が多い。
→スティーブンス・ジョンソン症候群

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手足口病 Hand-foot and mouth disease
 主として乳幼児にみられる伝染性のウイルス性感染症で,病名が示すように,手・足・下肢・口腔内・口唇に小水疱が生じる疾患である。病原は,コクサッキ-A16ウイルス,コクサッキ-A5,A10及びエンテロノンウイルス71型。

低用量ピル Low dose pill
 避妊を目的とした卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が含まれている低用量のホルモン剤。従来,避妊以外で婦人科の治療目的に使用されてきたものは中高用量ピルでエストロゲンの量が,50mgより多いものが高用量ピル,50mgのものが中用量ピル,50mg未満のものが低用量ピルと呼ばれ,低用量ピルにはエストロゲンがおよそ30~35mg前後含まれている。一定用量を服用する一相性と,生理的な月経周期のホルモンパターンに近づけて段階的にホルモンの量を変えた二相性,三相性等がある。
→生活改善薬

定量噴霧式吸入薬 Metered Dose Inhaler (MDI)
 気管支喘息等の閉塞性気道疾患治療のために,気管支拡張薬やステロイドのエアロゾルを定量的に直接局所に到達させる目的で用いられる薬剤。

テタニー Tetany
 主に四肢遠位筋に部分的に強い攣縮を起こし,手足の強い屈曲をきたす状態。重症の場合は喉頭筋や呼吸筋,さらには全身の筋におよぶこともあり,平滑筋を侵すこともある。代表的なものが副甲状腺機能低下症で,ビタミンD欠乏症・過換気症候群・原発性アルドステロン症等でも症状をきたす。また,大量のアルカリ摂取や頑固な嘔吐後,長期におよぶ脂肪性下痢後等にも出現することがある。多くの場合,代謝性アルカローシス・低カルシウム血症・高リン血症を伴い,このことがテタニー発現の引き金と考えられる。
→アルカローシス

デング熱 Dengue fever
 東南アジアなどでヤブカ属の蚊に刺されることにより伝染される急性の発熱性疾患で3~15日の潜伏期間の後突然発病し,多くは頭痛,熱(40℃,48~96時間持続),虚脱,関節・筋肉の激痛,リンパ節腫脹症,無熱期(約24時間)に続く2度目の発熱に伴う発疹を特徴とし,良性の経過をたどる。デング熱からデング出血熱に悪化すると死亡する場合もあり,解熱目的でアスピリン製剤を服用すると出血を助長するので注意を要する。

電磁波障害
 電気製品や電力施設から日常的に漏れている電気と磁気の波。現在問題とされている電磁波障害としては,VDT(視覚表示装置;Visual Display Terminal) からの電磁波による健康への影響,携帯電話からの電磁波が身体におよぼす影響,医療機器に対する影響があげられる。特に携帯電話から放出されるμ波は心臓ペースメーカーの停止等が報告されているが,一部のPHSでは安全性が確認されており,病院内でもスッタフが使用している。

添付文書 Package insert
 薬事法第52条に基づき,医薬品の適用を受ける患者の安全を確保するために,必要な情報を提供する目的で薬剤に添付する文書のことであり,公的文書である。
→インタビューフォーム;警告;重大な副作用

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糖尿病療養指導士 Certified Diabetes Educator(CDE)
 糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を有し,医師の指示の下で患者に熟練した療養指導を行うことのできる医療従事者(看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士の資格を有する者および准看護師,栄養士の資格を有する者。但し,准看護師,栄養士に対する受験資格附与は平成12年度より平成16年度までとする)に対し,日本糖尿病学会協会より発足した機構が与える資格である。

投与量規制因子 Dose Limitting Factor (DLF)
 癌化学療法において,制癌剤の有害反応がその投与量と関係している場合,用量決定に注意を要する有害反応をいう。たとえば,シスプラチンは腎毒性,フルオロウラシルでは消化器症状の副作用(口内炎等)・白血球減少症といった有害反応である。

特定機能病院
 高度な医療の提供,開発及び研修を実施しうる病院で,厚生労働大臣が承認したもの。主要な10以上の診療科,病床数500以上,医師・薬剤師・看護師数などの要件がある。平成4年の医療法改正により従来の病院区分が見直されて設定された。地域の医療機関との連携を深め,地域医療における高度医療の提供を担う役割を求められる。紹介性を基本とすることから紹介率が30%以上でなければならない。

特発性血小板減少性紫斑病 Idiopathic Thrombocytopenic Purpuea(ITP)
 明らかな基礎疾患・原因薬剤の関与なく発症し,血小板数が減少するため種々の出血症状をひき起こす疾病。推定発病または診断から6ヶ月以内に治癒する「急性型」は小児に多く,6ヶ月以上遷延する「慢性型」は成人に多い。原因は血小板に対する「自己抗体」ができ,脾臓で血小板が破壊されるために,血小板数が減ってしまうと推定されているが,なぜ「自己抗体」ができるのかについては,未だ不明である。

ドミノ移植
 1つの臓器移植をきっかけに,その患者から取り出した肝臓や,心臓をさらに別の患者に移植する方法。欧米では10年以上前からはじまっている。わが国では,1997年10月臓器移植法の施行されたが,危険が伴う,患者が合併症をおこす,インフォームド・コンセント(IC)がとりにくいという理由から2000年10月にはじめて実施された。

トリアージ triage
 災害時に傷病者の緊急度や重症によって,治療や輸送の優先順位を決めることで結果的に生存者を増加させる方法。次の段階に分類される。 
  第一順位……最優先治療群(重症群)  赤色
  第二順位……待機的治療群(中等症群) 黄色
  第三順位……保留群(軽症群)     緑色
  第四順位……死亡群          黒色

鳥インフルエンザ Avian influenza
 水鳥を中心に多くの鳥類に感染するインフルエンザ。ヒトへは感染しない。この中でも特に病原性の高い鳥インフルエンザが高病原性インフルエンザ(H5N1)といわれている。近年高病原性インフルエンザの鳥類からヒトへの感染が報告され2006年10月31日現在,タイ,ベトナム,インドネシアなど東南アジアを中心に,256人が発症,152人の死亡者がでている。ヒトへ感染した鳥インフルエンザは,他のヒトへは感染しない。ヒトからヒトへの感染が可能となるように変異したインフルエンザウイルスは新型インフルエンザとされ,世界的流行(パンデミック)が懸念される。
→新型インフルエンザ,パンデミック

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内因性交感神経刺激作用 Intrinsic Sympathomimetic Activity (ISA)
 β遮断薬の付随的薬理作用の1つで,内因性カテコールアミンが枯渇した状態での薬物自体によるβ受容体の刺激効果をいう。すなわち,ISAを有するβ遮断薬は,心拍数・心拍出量の減少作用が少なく,過度の徐脈をきたす恐れが少ない。
→βブロッカー

難病
 原因不明で治療方法が未確立であり,かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病。または,経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく手を要するために家庭の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病。国の特定疾患対策研究事業の対象として研究班が編成され,ベーチェット病や多発性硬化症をはじめとした118疾患が調査研究の対象となっている。そのうち46疾患が医療費公費負担の対象に指定されている。

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日本医療機能評価機構
 病院を始めとする医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し,その結果明らかとなった問題点の改善を支援する第三者機関。病院機能評価は「書面審査」と「訪問審査」により構成され,「訪問審査」は,一定の研修をうけ,経験をつんだ複数のサーベイヤーが「訪問審査調査票」に基づいて実施される。各評価項目の評点が標準的な水準以上であれば認定され,病院機能評価認定証が発行される。認定期間は5年間である。

日本標準商品分類 Standard commodity classification of japan
 日本の市場で取引され,かつ移動できる商品全てに付けられる番号。商品別の把握を必要とする統計調査時等に利用される。原則6桁の数字で,医薬品では添付文書のいちばん右上に記載されている。薬効分類番号や薬価基準収載医薬品コード等は,この番号が基準になっている 

ニューキノロン剤 New quinolon
 キノロンカルボン酸の6位にフッ素が,7位にピペラジンが導入されている新しいキノロン系抗菌薬である。本来は疎水(親油)性であったキノロン系薬剤に適度の親水性が加わることで,蛋白結合率が低下し,体内で代謝されにくいという特性を持つに至った。抗菌スペクトルがグラム陰性菌のみならず,グラム陽性菌まで広がり,抗菌力も増強された。非ステロイド性消炎鎮痛薬の併用で重篤な中枢性の痙攣が,また,制酸薬・鉄剤・カルシウム剤等との同時服用においてニューキノロン剤の吸収低下が報告されている。

認定薬剤師制度
 薬剤師業務の全般にわたって薬剤師という専門職の能力・適性を向上させるために,生涯にわたっての研修等による自己研鑽が必要であり,その生涯学習の成果を客観的に認定する制度。現在のところ,日本薬剤師研修センター,日本臨床薬理学会,日本医療薬学会,日本病院薬剤師会で認定薬剤師制度を行っている。

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猫ひっかき病 Cat Scratch Disease (CSD)
 猫にひっかかれたり接触した部位に丘疹,ついで所属リンパ節の有痛性腫瘍をおこす感染症で,原因菌は,主にグラム陰性桿菌とされている。潜伏期は3~10日,皮膚の局所反応・リンパ節の腫れの他,まれに発熱が一過性にみられるが2~4カ月で治癒する。

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ノイラミニダーゼ Neuraminidase
 ウイルス表面に存在し,宿主への侵入,増殖,遊離に関係する。抗インフルエンザウイルス薬のザナミビルは,このノイラミニダーゼの働きを阻害し,A型,B型のインフルエンザウイルスに効果を示す。

脳性ナトリウム利尿ペプチド Brain Natriuretic Peptide(BNP)
 主として心室から分泌され,血管拡張作用,利尿作用をもち,体液量や血圧の調整に
重要な役割を果たしている。健常人における血漿中BNP濃度は,極めて低いが,慢性及び急性心不全患者では重症度に応じて著明に増加しBNPの測定は心不全の病態の把握に重要な意義を持っている。
→α型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド

ノロウイルス
 冬に多発する感染性胃腸炎の原因の多くを占める病原体。生カキなどの貝類からの感染が知られるが,感染患者の吐物や便からも広がり,感染力は極めて強い。症状は1日数回から10回以上も繰り返す嘔吐や下痢。治療は水分補給などの対症療法しかない。通常は2日以内に治まるが,高齢者や体力のない人は重症化することもある。

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バイオアベイラビリティ Bioavailability
 投与された製剤中の薬物が体循環血液中(吸収過程中の門脈血を除く)に入る割合,すなわち生物学的利用率とその際の速度(生物学的利用速度)と定義される。生物学的利用率はAUCあるいは未変化体の尿中総排泄量から求め,生物学的利用速度はCmax,Tmaxがその指標となる。

バイオケミカルモデュレーション Biochemical Modulation (BCM)
 抗癌剤を投与する際に,他の薬剤(modulator)投与により,その抗癌剤の薬理動態を変化させ,抗癌剤の抗腫瘍効果を特異的に高めたり,毒性を軽減しようとするものである。この場合,modulatorは抗癌剤,非抗癌剤どちらでも構わない。

バイオハザード Biohazard
 微生物を取り扱う際にみられる微生物汚染による被害,微生物災害。現在,医学・薬学・農学等の分野で大きな問題となっており,特に遺伝子工学の発展に伴う被害が危惧されている。
→ケモハザード;細胞毒性医薬品

バイオバーデン Bioburden(=Microbioburden)
 生物負荷という概念で,病院環境の場合,ミクロバイオバーデンのことを指す。バイオバーデンでは,微生物の菌種・菌量を測定し,検出された微生物の抵抗性を調べる。抵抗性は基本的に耐熱性で評価するが,院内感染防止目的には消毒薬・抗菌薬への抵抗性(耐性)を調べる。MRSA等の感染対策を検討する際の基本データとなる。

バイオフィルム Biofilm
 細菌などの微生物が生体の硬組織に付着し,菌によって産生されるさまざまな多糖体と菌自体が複合体を形成したもの。多様な細菌が共存した状態で一種の生態系を形成し,個々の細菌のもつ増殖能や病原性の発現を互いにコントロールしている。また,この複合体が粘液状の鎧となり,病巣への固着性と抗菌薬等の攻撃因子に対する抵抗性を発揮している。

白衣高血圧
 医療環境(診察時)に測定した血圧は高血圧を示すが,非医療環境(家庭血圧,ABPM)で測定した血圧は常に正常である状態をいう。この現象はストレスに一過性に過剰反応を示していることであり,臓器血流の自動調節能の障害や動脈硬化が進んでいる可能性もあるため注意が必要である。

バージャー病(閉塞性血栓性血管炎) Buerger disease(Thromboangiitis obliterans(TAO))
 動脈及び四肢表在性静脈を分節的パターンで侵す炎症性変化に特徴づけられる閉塞性の疾患である。高度の進行例ではまれに他部血管が侵されることもある。病理学的所見は,非化膿性の汎動脈炎または汎静脈炎の所見で罹患血管は血栓を伴う。男性に多く,20~40歳の喫煙者に発生する確率が高い。女性の発症は5%にすぎない。

パーシャルアゴニスト(部分アゴニスト) Partial agonists
 薬物によって同一の受容体を介する反応でも最大反応が一致するとは限らず,薬物固有の内活量intrinsic activity(α)によって最大反応が決まると仮定すると,α=1の作動薬は完全アゴニストfull agonist,α<1の作動薬は部分アゴニストと呼ばれる。
→アゴニスト

パッチテスト Patch test
 接触性皮膚炎の抗原検索に用いられる皮膚貼付試験のことである。健常皮膚を刺激しない濃度に希釈して貼付する場合が多い。抗原物質を基剤(ワセリン・水・アルコール等)に混ぜ,小片にのばしたものを,試料数の少ないときは上肢屈側に,試料数の多い場合は,背部皮膚に貼付する。24~48時間後に剥離して20分後に判定する。

発熱性物質 Pyrogen
 静脈注射後,悪寒戦慄を伴う強い発熱を起こす物質のことで,微生物の産生するエンドトキシンが代表的なものである。121℃,30分の高圧蒸気滅菌では無効であり,250℃,30分の乾熱滅菌操作が必要である。

パニックディスオーダー(パニック障害・恐慌性障害) Panic disorder
 以前,不安神経症と呼ばれていた一群の症例のことである。何ら心理的病因もなく突然発作的に不安が生じ,同時に頻脈・動悸・呼吸促迫・めまい感等の身体症状が随伴し,恐怖感に襲われる病態のことである。
→PTSD

ハーフキット製剤 Half kit
 キット製剤が溶解すべき薬剤のバイアルと溶解液バッグが一体化した包装形態であるのに対して,双方が別々で,専用の接合部によって両者が用時に接続されるシステムになっているキット製剤。ハーフキットの溶解液があれば薬剤によって溶解液の種類・容量を選択できる利点がある。
→キット製剤、プレミクスト製剤

パリアティブ・ケア(緩和ケア) Palliative care
 治癒を目的とした治療に反応しなくなった疾患を持つ患者に対して行われる積極的で全体的な医療ケア。痛みのコントロール,痛み以外の諸症状のコントロール,心理的な苦痛,社会面の問題,霊的な問題などの解決が最も重要な課題となる。最終目標は,患者とその家族にとってできる限り良好なQOLを実現させることである。
→ホスピス,ターミナルケア

バリデーション Validation
 「検証・確認」が本来の意味である。薬剤用語としてはGMPにおける医薬品製造所の構造設備並びに手順,工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し,これを文書とすることによって目的とする品質に適合する医薬品を恒常的に製造できるようにすることを意味する。

パルス療法 Pulse therapy
 間欠的に薬剤を大量投与する治療法。全身性エリテマトーデス(SLE),多発性動脈炎,原発性ネフローゼ症候群,間質性肺炎,臓器移植後などに対するステロイドパルス療法が最も一般的。ほかに癌に対する抗悪性腫瘍薬(シクロフォスファミド等),爪白癬に対する抗真菌薬(イトラコナゾール等)などのパルス療法がある。

パンデミック Pandemic
 世界的な流行病に対する医学用語で,ある感染症が短期間で世界的に流行することを言う。感染爆発,あるいは汎発流行。これに対して感染症が一部地域で,あるいは散発的に流行することは「エピデミック(epidemic)」,「地方流行」と呼ばれる。

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非イオン性造影剤 Nonionic contrastmedia
 画像診断に際し使用されるイオン化しない造影剤で,親水性原子団を共有結合させることにより溶解性を高め,水溶液中ではイオンに解離せず,一粒子となっている。そのため,浸透圧の低下と共にイオン毒性を軽減させることで造影剤の副作用発現率が減少する。

ピギーバッグ Piggybag
 点滴静注用注射薬の混合方法の1つで,2種類以上の輸液あるいはバイアル入りの注射薬と輸液を混合する方法である。一方の輸液セットのゴム管あるいはY字管の部分に他方の輸液セットの注射針を挿入し,混合して注入する。

ピークフローメーター Peak flow meters
 肺機能の指標の1つであるピークフロー(最大呼気流量)を測定する器具である。患者は定期的にピークフロー値を測定し記録する。喘息発作症状が現れる前にピークフロー値は低下するので,発作の早期予知が可能で,的確な対応がとれる。

非タンパク質カロリー・窒素比 NPC/N比
 TPN(中心静脈栄養法)中のアミノ酸以外のカロリー(非タンパク質カロリー:NPC)をアミノ酸由来の窒素量(Ng)で割った値である。アミノ酸が有効に体タンパク質合成に利用されるためには,NPC/N比が150~220の範囲にあるのが望ましい。N量の算出は通常,窒素(g)=アミノ酸(g)/6.25で行われる。

ヒトゲノム(ゲノム) Genome
 細胞あるいはウイルスがもつ基本的な染色体の組。ヒトのゲノムは30億の塩基対からなる24種類の染色体で構成されている。この塩基の配列をすべて解明しようとする研究計画がヒトゲノムプロジェクト(HGP)である。

ヒトパルボウイルスB19 Parvovirus
 幼少児に多くみられる伝染性紅斑(リンゴほっぺ病)の原因ウイルス。ターゲット細胞は主に赤血球前駆細胞や赤芽球で,レセプターは赤血球のP抗原である。感染を受けた赤芽球は増殖を停止し,約7日間赤血球の産生が停止する。

日和見感染症 Opportunistic infection
 健康な人では害ではないのに,身体の弱った人では病原性を示す感染症を言う。以前は緑膿菌がその代表だったが,現在はMRSAが深刻な問題となっている。
→院内感染;院内肺炎;エイズ;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA;VRE

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ファーマシューティカル・ケア Pharmaceutical care
 患者のQOL(Quality Of Life)を向上させるための薬物治療の提供を意味し,患者を中心に据え,優れた薬剤を患者のニーズに合わせて提供することである。薬剤師だけでの独占業務とせずに,医師・看護師等,他の医療従事者と連携した業務遂行が重要である。
→QOL

フィブロネクチン
 細胞の形質膜に存在し,遊離されたものが血液中に約 300 mg / mLほど含まれ,比較的高濃度に存在する糖タンパク質。分子量 22 万のサブユニットからなり,血漿中のものは互いに数本の S - S 結合により二量体として,また形質膜のものは二量体ないし多量体として存在する。ドメイン構造と呼ばれる独特な構造をもち,フィブリン,コラーゲン,ヒアルロン酸,ヘパリンなどの生物学的高分子や,細胞表面のフィブロネクチン受容体(インテグリン)と特異的に結合する。フィブロネクチンは,細胞の接着の促進に関与し,細胞の接着性が重要な役割を演じる発生,細胞の分化,器官形成,創傷治癒,免疫担当細胞の認識,止血血栓形成など極めて多彩で,生体の各器官を形成したり機能を維持するのに重要な生物現象のほとんどに関与している。

フォーカスチャーティング  Focus charting
 患者の経過を系統的に記述する記録方法。アセスメント,診断,患者の問題点など患者に関するすべての出来事に焦点を当てて記録するフォーカスとその経過記録であるデータ,アクション,レスポンスの4つの要素から構成されている。

副作用 Side effect(SE)
 病気の予防,診断もしくは治療で投与された医薬品に対する反応のうち,有害で意図しない反応,すなわち有害事象のうち当該医薬品との因果関係が否定できないものをいう。
→重大な副作用;副作用の重篤度分類基準

副作用の重篤度分類基準
 副作用の重篤度を3つのグレードに分け,それぞれについて目安となる症状や臨床検査値を示したものである。
  グレード1 軽微な副作用
  グレード2 重篤な副作用ではないが,軽微な副作用でもない
  グレード3 重篤な副作用,死亡や永続的障害につながる恐れがある
→重大な副作用;副作用

不定愁訴 Unidentified complaints
 器質性疾患はみられないが,例えば胃部不快感や胸やけ,悪心・嘔吐等の症状を有するものをいう。主に自律神経反応性の欠如,均衡を失った時,発現するといわれている。

プライマリー・(ヘルス)・ケア Primary (health) care
 病気や外傷の時,最初に接する1次医療のことである。プライマリー・ケアを1次医療と,それ以前のセルフ・メディケーションの2段階に分け,セルフ・メディケーションの面での薬局の役割(OTC薬等)が期待されている。

フラッシュバック Flashback
 依存性薬物やアルコールの使用後,ある期間消失していた精神症状が薬物の再使用により短期間に強く出現したり,あるいは再使用しないにも係わらず症状が出現したり,持続していた軽度の精神症状が増悪する現象。

プリオン Prion
 ウイルスより小さく,遺伝子を持たないのに増殖する感染力がある病原体で,クロイツフェルト・ヤコブ病等の病原体スローウイルスがこのプリオンに属する。タンパク質からなる粒子で,脳細胞内で増殖するといわれているが,確証は得られていない。
→アミロイド;クロイツフェルト・ヤコブ病;BSE

ブリッジング試験
 海外での臨床試験を活用し,国内での重複試験を避け,よい治療薬を早期に承認取得することを目的として,海外での臨床試験の成績が,日本人の患者でも再現されることを確認するために実施される.この試験を行うためには,薬物動態,有効性,安全性,用法用量設定に関して,国内データと海外データが一致していることが重要と考えられる。

プール熱(咽頭結膜熱) Pool fever
 発熱・咽頭炎・結膜炎を特徴とする急性伝染性疾患で,水泳と本症罹患の関連が示唆されたため「プール熱」という呼び方が一般化された。ウイルス疾患であるため有効な治療法はなく,化膿性結膜炎が疑われる場合には細菌学的検査を施行し,適切な抗生物質投与を行う。本症患児は急性期と少なくとも回復後2週間は水泳を禁止することが望ましい。

プレアボイド
 日本病院薬剤師会医薬情報委員会が行っている,医療現場の薬剤師が,薬物療法に関して患者に対する不利益を回避し最小限に留めるために行った実例報告のこと。プレアボイドは造語で"be PREpared to AVOID the adverse reactions of drugs"の略・呼称。副作用はもとより相互作用,重複投薬,禁忌症,慎重投与,服薬コンプライアンスなど多岐に渡っている。

ブレイクポイント Break Point(B.P.)
 B.P.の概念は,細菌学と臨床的に分けられ,前者は対象の菌が抗菌薬に対して耐性あるいは感性であるかを判定するB.P.をいう。一方,臨床的B.P.は感染症に対して抗菌薬の臨床的効果(80%以上の有効率)が期待できる範囲・限界を示すMICをいう。例えば,ある感染症に対して2つの抗菌薬のMICを比較する時,大きなMICでも80%有効率を期待できる方がB.P.の値は大きくなり,この方が優れていることになる。つまり通常の感受性検査では薬剤のMICの小さい方が高く評価されるが,臨床的B.P.とは異なる。

プレフィルドシリンジ Prefilled syringe
 あらかじめ薬剤を充填してあるシリンジ。調製時における細菌汚染や異物混入,過誤防止,および医療機関における器材や労働コストの削減などが期待できる。救急時にも使用されており,無菌性・緊急性などの点から有用性が高い。

プレミクスト製剤
 一般に注射剤のうち薬剤が溶けた状態でソフトバッグに充填されている点滴用注射剤を言う。また,すぐに使用できる状態の製剤であるため,ready to useとも言われる。
→キット製剤;ハーフキット製剤

プロスタグランジン製剤 Prostaglandins (PG)
 プロスタグランジン(PG)という名称はPGそのものだけでなく,トロンボキサン(TX)・ロイコトリエン(LT)・リポキシン(LX)等の炭素20個の不飽和脂肪酸のアラキドン酸から生合成される生理活性物質群総称として使われることが多い。PGは,産婦人科領域(PGF2α・PGE1・PGE2;分娩誘発・陣痛促進),消化器領域(PGF2α;術後腸管麻痺の回復遅延・麻痺性イレウスにおける腸管蠕動亢進,PGE1・PGE2;胃粘膜細胞保護作用・酸分泌抑制作用),循環器領域(PGE1;末梢循環障害における血管拡張・抗血小板作用), 眼科領域(PGF2α;眼圧下降作用で緑内障治療)等で使われている。

プロスペクティブ Prospective study
 予想される時間的な前向き研究である。疾患の発現等を一定時間に渡って予想・追跡する研究。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

プロテアーゼ阻害薬 Protease inhibitor
 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の蛋白質は宿主(ヒト)の細胞によって産生される。ヒトのDNAに逆転写酵素でHIVの蛋白質情報を写すことによりHIVの蛋白質をヒトに産生させる。この蛋白質は非常に大きいためHIVプロテアーゼ(蛋白分解酵素)が適当な大きさに切断することによりHIVは増殖する。この働きを妨げるのがプロテアーゼ阻害薬である。嘔吐等の副作用が高頻度に出現することがある。
→エイズ;逆転写酵素阻害薬;レトロウイルス

プロドラッグ Prodrug
 医薬品の誘導体で,それ自身に薬理作用はないが,体内で代謝されると薬効を発揮するような物質をいう。利用目的としては,①味・臭い②刺激③安定性④溶解性⑤吸収性⑥作用時間などの改善⑦作用部位での作用⑧副作用軽減等がある。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;コントロールドリリース;持続性製剤;ターゲッティング療法;DDS;TTS

分子標的医薬品
 がんや遺伝病などのなかで,変異遺伝子がつくる変異タンパク質の細胞内の代謝がもとで起こるものがある。その発症や悪化の原因となる変異遺伝子や変異タンパク質を特定し,それらに直接作用するようにつくられた医薬品。疾患の原因となる分子にのみ作用することで,高い効果と比較的副作用が少ないというメリットが期待されている。しかしイレッサのように重篤な副作用による死亡例が多数報告されているものもあり,注意が必要である。

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ベイジアン法 Bayesian method
 最低1ポイントの血中濃度からでも,非線形最小二乗法により,患者固有のパラメータ(クリアランス・分布容積等)を求め,その後の薬物投与にフィードバックさせていくものである。

ベースン法
 手指消毒法の一つ。適正濃度の消毒剤(塩化ベンザルコニウム,グルコン酸クロルヘキシジンなど)を洗面器様の容器(ベースン)に入れ,そこへ手指を浸して洗う方法。本法は最も一般的な手指消毒法であったが,適正な消毒効果を得るには薬液とタオルの交換を頻回に行う必要があること,これを怠ると病原微生物の伝播を招き院内感染の原因となるなどの欠点があり現在では廃止の方向にある。
→擦式手指消毒剤;手指消毒法;スクラブ法;スワブ法;ラビング法

βブロッカー β-Blocker
 交感神経のβ-受容体に遮断的に作用する薬剤。また本来のβ遮断作用の他に,内因性交感神経刺激作用(ISA),やα遮断作用等を有する薬剤がある。β1(心臓)選択性製剤はβ2にあまり作用しないので,気管支収縮や末梢循環不全を起こす傾向が少ない。また,β遮断薬を投与すると代償的にα作用が亢進し,降圧効果を減弱することがある。αβ両方の遮断作用のあるαβ遮断薬もある。
→内因性交感神経刺激作用

βラクタマーゼ β-Lactamase
 ペニシリン・セファロスポリン等の抗生物質のβラクタム環を加水分解する酵素で,ペニシリナーゼ・セファロスポリナーゼがあり,薬物を不活性化する作用がある。

ベクター Vector
 本来は媒介者の意味で,たとえばコガタアカイエカは日本脳炎ウイルスのベクターである。バイオテクノロジーの領域では,組み換えDNA技術で目的の遺伝子を宿主細胞に組み込むための運び役を指す。宿主細胞から容易に分離し,組み換えDNA分子(目的のDNAをつないだDNA)を作らせた後,再び宿主細胞に入れることができ,宿主細胞内で自律的に増殖をすることが必要で,プラスミドやウイルスがよく用いられている。

ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori
 胃内で生存するらせん状の鞭毛をもつグラム陰性桿菌で粘液層の中を自由に動き回れる。微好気性下で培養され増殖速度は遅い。この細菌が慢性胃炎,胃・十二指腸潰瘍,胃ガン等の病態発症に深く関与していることが明らかになっている。

ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬 Benzodiazepine receptor antagonist
 ベンゾジアゼピン(BZP)受容体に対して拮抗する薬剤。代表的な薬剤は,フルマゼニルで,単独では薬理作用を示さないが,BZP系薬剤による麻酔・鎮静・中毒・呼吸抑制の解除に対して効果を示す薬剤である。フルマゼニルは結合しているBZPと置き換わることにより,BZPの薬理作用を打ち消している。

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包接化合物 Inclusion compound
 原子又は分子が結合してできた三次元構造(ホスト;シクロデキストリン等)の内部に適当な大きさの空孔があり,その中に他の原子又は分子(ゲスト)が,一定組成比で入り込んで特定の結晶構造を作っている物質のことである。

ホスピス Hospice
 死期の近い患者を入院させ,無理な延命策をとらず,患者を人間らしく,威厳と平和のうちに死を看取ることを目的とした病院。患者の身体的・精神的苦痛を緩和することが重要であると考え,医師・看護師・家族・心理学者等が参加して,残された時間を有意義なものにすることを目指している。
→ターミナルケア;パリアティブケア

ホスホジエステラーゼ-Ⅲ阻害薬 Phosphodiesterase-Ⅲ inhibitor(PDE-Ⅲinhibitor)
 c-AMPを分解する酵素であるPDEを阻害することによってc-AMP濃度を上昇させ,心筋収縮力を上げる薬剤である。他の作用として,血管及び気管支平滑筋弛緩作用・血小板凝集抑制作用がある。

ポリープ切除(術) Polypectomy
 ポリープを摘除すること,外科的手術による方法と内視鏡を用いる方法がある。内視鏡的ポリペクトミーは,消化管ポリープ等の切除に用いられ,高周波通電法・抗ガン剤やアルコールを局所注射する局注法・凍結法等がある。
→下部消化管内視鏡

ホルモン補充療法 Hormone replacement therapy(HRT) 
 卵巣機能の低下または欠落に伴うホルモンの不足または欠乏を補充し,精神・身体機能の改善・維持を目的にリスクと利益を考慮して行う治療。更年期症状に対するHRTの治療効果は顕著で,骨粗鬆症,冠動脈疾患,アルツハイマー病などでも予防・治療効果が報告されている。

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マイクロカプセル Microcapsule
 医薬品の液体又は固体の微細粒子に適当な膜で被膜した約5~500nmの微細な粒子で,膜により外部から保護・隔離されると共に,外部に放出される時期・速度等がコントロールできる。油性物質を固形粉末化したり,配合禁忌の薬剤の配合を可能にしたり,副作用防止等,多種多様な応用ができる。

末梢血幹細胞移植 Peripheral Blood Cell Transplantation(PBCT)
 骨髄移植に代わる骨髄再建のための方法。末梢血液中には,骨髄中の約1100の造血幹細胞が存在する。造血幹細胞は血液細胞(白血球,赤血球,血小板)を作るもとになるものである。この造血幹細胞さえあれば血液細胞は維持される。末梢血幹細胞移植には自分の細胞をあらかじめとっておいて,必要なときに移植する自己末梢血幹細胞移植と,兄弟や親子など白血球の型(HLA)が近い人に移植する同種末梢血幹細胞移植の二つに分けられる。

慢性疲労症候群 Chronic Fatigue Syndrome (CFS)
 原因不明の極端な疲労を主徴とする疾患で,通常の疲労は2~3日の休養で回復するが,休養や安静によっても回復せず,さらに通勤や通学にも支障をきたすことが多い。症状は多彩で微熱・咽頭痛・筋肉痛等の感染症様症状と頭痛・睡眠障害・健忘・集中力低下・抑鬱状態等の精神症状等がある。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 Chronic Inflammatory Demyelinating neuro Pathy (CIDP)
 手足の脱力や痺れなどの運動障害,感覚麻痺を主とする再発・再燃を繰り返す神経炎。再発,再燃により筋肉の萎縮,感覚の異常が出現する。CIDPは末梢神経を構成している軸索と髄鞘のうち髄鞘が障害(脱髄)される疾患で,免疫異常が起きていると考えられている,原因は良くわかっていない。ステロイド,血漿交換,完全分子型静注用免疫グロブリン製剤療法がある。

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ミオパチー(ミオパシー) Myopathy
 筋肉自体が侵されて生じる疾患の総称で遺伝性・非遺伝性・外因性のものがある。遺伝性ミオパチーには代謝異常,あるいは原因は不明であるが種々の病理学的特徴を有する先天性ミオパチーがあり,非遺伝性ミオパチーには,全身性疾患に伴う内分泌性ミオパチー・ビタミン欠乏によるミオパチーがある。

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無痛化剤 Soothing agents
 注射薬施用時,痛みを緩和する目的で添加される薬剤。液のpH・浸透圧が体液と著しく異なるために生じる疼痛を軽減するために添加される緩衝剤や等張化剤。また,医薬品の種類によっては,著しく疼痛を示すため塩酸プロカイン・塩酸リドカイン・塩酸ジブカイン等の局所麻酔薬,ベンジルアルコール・フェノール等の鎮痛作用のある防腐剤を無痛化剤という。

<メ>トップへメガスタディー Megastudy
 数年以上にわたって追跡する大規模長期臨床試験研究のことで,欧米ではかなり以前から行われており,日本でもこれら大規模長期にわたる実証的な知見を治療の参考としてきたが,近年になり欧米との生活習慣の差,薬剤に対する感受性の差等が問題となり,患者のQOLを高める治療法を開発すべく日本独自の研究が開始されている
→疫学的調査;エンドポイント;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

メタボリックシンドローム metabolic syndrome
 内臓脂肪の蓄積と,それを基盤にしたインスリン抵抗性および糖代謝異常,脂質代謝異常,高血圧を複数合併するマルチプルリスクファクター症候群で,動脈硬化になりやすい病態。2005年4月,日本内科学会および関連7学会により定義された。診断基準は,必須項目となる内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100平方cm以上)のマーカーとして,ウエスト周囲径が男性で85cm,女性で90cm以上を「要注意」とし,その中で ①血清脂質異常(トリグリセリド値150mg/dL以上,またはHDLコレステロール値40mg/dL未満) ②血圧高値(最高血圧130mmHg以上,または最低血圧85mmHg以上) ③高血糖(空腹時血糖値110mg/dL)の3項目のうち2つ以上を有する場合とされる。近年脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンとの関連が報告されている。
→アディポネクチン;1型糖尿病/2型糖尿病

メラトニン Melatonin
 松果腺から分泌される脳下垂体後葉のメラニン細胞刺激ホルモンに拮抗作用があるホルモン。天然の睡眠薬であることが報告され,時差ボケの解消や免疫強化,フリーラジカル除去作用等,様々な報告がある。欧米では,老化にともなって分泌量が減るメラトニンを口からサプリメント(栄養補助食品)の形で補充し,老化を防止して活力・精力を蘇らせることができるという報告もある。

免疫ミルク
 ウシの体内で抗体・生理活性物質を発生させ,このウシから搾乳した乳に含まれる各種病原菌に対する抗体・機能性因子の活性を失わないよう濃縮乾燥させた脱脂粉乳である。日本では1997年よりスターリーミルクという商品名で食品として医療機関向けに販売されている。リウマチ性関節炎・アレルギー症状等に対する作用, LDL コレステロール低下・HDL コレステロール上昇等の作用が確認されている。

免疫療法 Immunotherapy
 一時的な抵抗力を与える血清かγグロブリンによる受動免疫療法で,他人(別)の体内で産生された抗体を導入する。免疫不全者に対して免疫能を再建するために骨髄や胎児の胸腺等,免疫能を持つ組織その他を移植したり,アレルギー性呼吸器疾患に対してその疾患に反応する抗原の抽出物を注入する等の治療法がある。

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モーニングサージ Morning surge
 早朝,起床前後に生じる一過性の血圧上昇。血圧には日内変動が知られており,睡眠中には下がり,起床前に当日の活動に備え急激に上昇する。モーニングサージは,早朝から午前に心事故・脳事故が多発する要因の一つと考えられている。

モーニングディップ Morning dip
 早朝にみられる喘息発作。副交感神経には,明瞭なサーカディアンリズムが存在しており,起床とともに副交感神経活動が減弱することが確認されている。

モノクローナル抗体 Monoclonal antibody
 単一クローン性抗体で,生体のある種の細胞にだけ反応する純水で高活性を持つ抗体のことである。例えば癌に特異な抗体を投与すると対応する抗原(この場合は癌)のある位置が分かり,的確な診断を行える。

モルヒネ様物質受容体 Opioid receptor
 モルヒネが特異的に親和性を持つ受容体。opioid receptorが哺乳類の中枢神経中にあることが見出され,opioid receptorと結合するモルヒネ様ペプチド(エンケファリン・エンドルフィン・ダイノルフィン)が下垂体内にある。opioid receptorには,8種類あり脳内には4種類の受容体があることが分かっている。

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薬剤疫学 Pharmacoepidemiology
 薬剤を服用している人間を対象の集団として,その集団内における健康に関連した全ての事象・状態の分布やそれに影響を及ぼす因子を研究し,薬剤の安全で効果的な使用法をはじめ,薬剤使用の真の有用性を明らかにして,健康問題の対策に応用する学問である。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;レトロスペクティブ

薬剤管理指導料
 一定の施設基準に適合する病院において,都道府県知事に届出をし薬剤師が入院患者に対して服薬指導を中心とした薬学的管理を行った場合,診療報酬上算定できる指導料。算定のためには薬学的管理を行い,必要事項を記入すると共に,当該記録に基づく適切な患者指導を行っていることとされている。

薬物体内速度論 Pharmacokinetics
 生体内の薬物移動過程を正確に知るために製剤として投与した薬物の血中に吸収される割合・速度を示す理論。医薬品の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)を通じ,投与された製剤の剤形がこれらの体内過程に影響を与えることを知ることは,製剤設計,投与方法を確立するために重要である。

薬物動力学 Pharmacodynamics
 薬物の生体におよぼす生化学的及び生理学的作用について,作用機序,薬物の作用と化学構造の関連性(構造-活性相関)等の面から研究する学問である。薬力学(薬物動力学)は,生理学・生化学・細胞及び分子生物学・微生物学・免疫学・遺伝学・病理学等の関連分野の研究方法や実験手技を用いて行われるが,研究内容はあくまで薬物の作用を対象としている。

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有害事象 Adverse Events (AE)
 医薬品(治験薬を含む)を投与された患者または被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事で,必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。

輸液 Parenteral fluid
 体液の量的及び質的な異常を是正し,またその正常状態を維持するために,相当量の液体を非経口的に投与する治療法①電解質輸液:水分,電解質や酸・塩基平衡の是正と維持を行うもの②栄養輸液:栄養の補給を行うもの(糖類輸液・アミノ酸輸液・脂肪輸液)③代用血漿輸液:循環血液量と膠質浸透圧の維持回復を行うもの。

ユニバーサルプレコーション Universal precaution
 どの患者にも感染症の可能性があるということを前提として,全ての人の血液と特定の体液の取り扱いに注意を払うというもの。

輸入腸管寄生虫
 日本国内の寄生虫感染症は確実に減少してきたが,海外渡航時の食物摂取,輸入食品による寄生虫感染は時に重大な疾患をきたす。特に土壤伝播性寄生虫は世界中で多くの罹患者が存在しており,その地域で収穫された野菜を摂取した場合,腸管寄生虫の感染を受けることがある。また,輸入された牛肉・豚肉を不十分な加熱のまま摂取し,感染を受ける例もある。

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容器包装リサイクル法
 2000年4月に施行された法律で正式には「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」といい,「容器包装」を分別収集し,再商品化(リサイクル)を促進する法律。医療用医薬品は,医薬品製造事業者が製造,出荷段階で付す容器及び包装は,法でいう容器包装に該当するが,薬袋に関しては,病院等において交付される薬剤が,診療行為という役務提供の一環として交付されているものであることから,この交付の際に付される薬袋は容器包装リサイクル法に規定する「容器包装」とはならない。

溶血性尿毒症症候群 Hemolytic Uremic Syndrome(HUS)
 血小板減少・破砕状赤血球を伴う溶血性貧血・腎機能障害を三徴候とする症候群。小児では下痢・血便によって発症し,乳幼児に多くみられ,比較的予後の良い型が多くみられる。最近では病原性大腸菌O-157による出血性大腸炎に伴う事も多い。
→O-157

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ライム病(ライムボレリア症) Lyme Disease (LD)
 マダニの咬傷によって媒介されるスピロヘータによって惹起される全身感染症である。体内に侵入したスピロヘータは咬傷部に遊走性紅斑を呈したのち,数日のうちに血流中に入り,中枢神経系・心筋・関節・眼等に運ばれ,各臓器組織で播種性病変を生じる。ライム病はアメリカ東北海岸部・欧州・ロシア・オーストラリア・北アフリカ等世界に広く分布しており,日本でも本州中部以北で報告のある輸入伝染病の1つである。

ラビング法(擦式法)
 手指の消毒法の一つ。速乾性の消毒剤を手掌にとり,乾燥するまで皮膚に擦り込んで消毒する方法で,水を使用しない消毒方法である。手指を石鹸と流水による手洗い後,擦式消毒剤約3mLを手の掌にとり,両手の爪→手の掌→手の背→指の間→親指→手首の付け根の順に乾燥するまでよく擦り込む。
擦式手指消毒剤;手指消毒法;スクラブ法;スワブ法;ベースン法

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リスクマネージメント Risk management
 医療におけるリスクマネージメントとは,患者の立場に立ち患者が安心して医療を受けられる環境を整えることを基本理念として,医療事故の原因を究明し,防止策を講じることにより,医療事故を未然に防ぎ,医療の質を保証することである。本来の事故防止や迅速な事故処理による,企業の経済的損失を防止する手段とは趣きを異にしている。

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レイ(ライ)症候群 Reye syndrome
 小児にみられる急性脳症で,発病初期では高アンモニア血症・低血糖症がみられ,続いて血清高GOT・GPT,プロトロンビン値低下等の肝機能障害が認められる。原因因子としてウイルス感染・中毒・尿素サイクルの異常があげられているが,まだ全ての例に当てはまらない。また,アスピリン服用の関与もあげられている。

レーダー協議会 Risk/Benefit Assessment of Drugs-Analysis and Response(RAD-AR協議会)
 医薬品が本質的に持っているリスク(好ましくない作用など)とベネフィット(効能・効果や経済的便益など)を科学的に検証して分析を行い,その成果をもとにして社会に正しい情報を提供し,医薬品の適正使用を推進すると共に,患者さんの利益に貢献する一連の活動を推進するために,国内の主要研究開発指向型製薬企業によって1989年5月に創設された協議会。2003年4月より製薬企業だけでなく一般個人にも会員として参画を求め,活動の内容が容易にわかるよう,名称が『くすりの適正使用協議会』に変更となった。

レジオネラ菌
 院内感染原因微生物の一つで環境の変化に強く,温度(0~63℃),pH(5.0~8.5)の変化に耐え,条件がそろえば貯水槽などの中で増殖する。元来常在菌であるが,汚染水の噴霧や飛散によって気道感染する。病原性は急性肺炎で,抵抗力の弱い人では急激な経過をたどり,死に至ることがしばしばある。本菌は細胞内増殖菌であるため,ペニシリン,セフェム系などの細胞内に移行の悪い抗菌薬は無効。マクロライド,ニューキノロン,リファンピシンが有効。
→在郷軍人病

レトロウイルス Retrovirus
 通常のRNAウイルスが宿主細胞内で,自己のRNAを鋳型にして必要な蛋白を合成するのに対して,レトロウイルスは宿主細胞内で自己のRNAを鋳型にしてDNAを合成し,それが宿主細胞のDNAに組み込まれる。レトロウイルスには,AIDS・成人T細胞白血病の原因となっているウイルスが属する。このDNAを鋳型としてウイルスRNAが合成され,同時に合成されるウイルス構成成分の蛋白とともにウイルスが形成される。
→エイズ;逆転写酵素阻害薬;プロテアーゼ阻害薬

レトロスペクティブ Retrospective study
 遡及的研究のことで,時間に遡って疾患の発現等を調べる回顧的研究である。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学

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老人斑
 アルツハイマー病における脳の病理的特徴。脳内分泌物質であるアミロイド前駆体蛋白が代謝異常を起こし,大脳皮質細胞(ニューロン)を死滅させ,老人斑が形成される。
→アミロイド、アルツハイマー病

六者懇
 正式名称を薬剤師養成問題懇談会といい,文部科学省・厚生労働省・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会,国公立及び私立の薬科大学を加えた六者で構成されている懇談会。薬学教育6年制や薬局等における実務研修の義務化を含めた,薬剤師養成に関する今後の方向性や種々の検討課題をそれぞれの立場で問題提起,検討する会。

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ACE-I Angiotensin Converting Enzyme inhibitor アンジオテンシン変換酵素阻害薬
 アンジオテンシン変換酵素(ACE)は,アルドステロン分泌調節に働いており,肺血管床の内皮細胞における膜結合性酵素として存在し,アンジオテンシンⅠ→Ⅱに変換する酵素である。そのため,アンジオテンシンⅡの産生が抑制され,アンジオテンシンⅡによる血管収縮を抑制することで血圧を低下させるものをアンジオテンシン変換酵素阻害薬と言う。

ADA欠損症 Adenosine DeAminase deficiency
 アデノシン脱アミノ酵素(ADA)が欠損する原発性免疫不全症である。臨床的には,複合型の免疫不全症を示し,生後まもなく易感染性,リンパ球減少,カンジダ症,低ガンマグロブリン血症等を呈する。免疫機構が再建されなければ,殆どの患児が重症感染症で死の転帰をとる。治療法としては,骨髄移植・酵素補充療法・遺伝子治療が行われている。

ADL Activities of Daily Living
日常生活行動のこと。食事,衣服の脱着,入浴, トイレ,移動,コミュニ ケーションなどの身の回りの動作や洗濯,掃除,調理,服薬,公共機関の利用などの日常生活関連動作をいう。

ADME
 薬は,患者に投与されてから効果が発揮されるまでに,身体の中で様々な過程を経て目的の作用部位に到達し,役目を終えると体外へ出される。その過程には吸収(Absorption)・分布(Distribution)・代謝(Metabolism)・排泄(Excretion)がある。これらを総括してADMEと呼ぶ。

AE
→有害事象

AED Automated External Defibrillator 自動体外式除細動器
心室細動による心臓の停止を除細動により再開する医療機器。心電図を自動で解析し,除細動が必要な場合に電流が流れる仕組みになっており,2004年から空港や飛行機,駅やホテルなど公共の場に設置され一般市民が使用できるようになった。

AFP
→腫瘍マーカー

AGA Androgenetic Alopecia
AGAとは,Androgenetic Alopeciaの略で,いわゆる「男性型脱毛症」のこと。AGAの原因は主に遺伝と男性ホルモンによるものだが,その他ストレスや生活習慣なども原因となる。男性ホルモン(テストステロン)は,毛根にある毛母細胞で5αリダクターゼによりDHT(ジヒドロテストステロン)となり,毛根細胞の分裂を抑制し,ヘアサイクルに悪影響を与え,髪の毛の成長を妨げ,薄毛・脱毛の原因となる。AGA治療薬のフィナステリドは5αリダクターゼを抑制することでAGAの進行を抑制する。
→生活改善薬

AIDS
→後天性免疫不全症候群

AM
→アドレノメデュリン

ARB Angiotensin receptor blocker アンジオテンシン受容体拮抗薬
 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)系の生理活性物質の1つとしてアンジオテンシンⅡ(AⅡ)があり,その生理作用は,アルドステロンの合成と分泌・血管収縮・腎におけるNaの再吸収促進による血圧上昇である。ARBはAⅡ受容体(AT1受容体)に特異的に結合し,その生理作用を抑制することにより降圧作用を示す。

ARDS
→生体成人呼吸窮迫症候群

ARR Absolute Risk Reduction 絶対リスク減少率
 臨床試験において効果の指標となる値である。対照群でのイベント(死亡率,合併症発生率など)から対象群でのイベント発生率を差し引いた値をいう

AUC Area Under the Curve 血中濃度-時間曲線下面積
 血中薬物濃度の時間推移を示す曲線グラフ下の面積で,濃度×時間の単位で表される。AUC=吸収量/(分布容積×消出速度定数)の関係があり,分母の2因子は薬物により決まっているので,AUCは吸収量に比例するといわれている。また,静脈内投与の薬物,あるいは生体内利用率が正確に分かっている時,他の経路の分布容積を求めるのに使われる。

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BCM
→バイオケミカルモデュレーション

BMI Body Mass Index
 身長と体重から計算される体格指数。算出法は(体重(kg)÷身長(m) 2) で22を標準とする。

BNP Brain Natriuretic Peptide  
→脳性ナトリウム利尿ペプチド

B.P.
→ブレイクポイント

BRM Biological Response Modifiers 宿主免疫能変換法
 生体が本来持っている癌に対する抵抗性機構(特定の免疫細胞を活性化するサイトカイン類等)を賦活して癌を抑制しようとする薬剤あるいは療法をBRMと呼ぶ。

BSE Bovine Spongiform Encephalopathy(Mad cow disease) 牛海綿状脳症(狂牛病)
 著明な海綿状病変をきたすため,伝達性海綿状脳症(TSE)として同一疾患に属し,プリオンというタンパク質粒子が原因で起こる病気の1つである。牛が宿主で,英国で集団発生し,1996年3月に英国政府がヒトにも感染する可能性があると発表した。牛の脳に無数の小さな穴があいて,萎縮,歩行異常等の運動失調からやがて起立不能となり死亡する。
→アミロイド;クロイツフェルト・ヤコブ病;プリオン

BUN
→血中尿素窒素

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CAPD Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis 持続的腹膜透析法
 腹膜を透析膜の代わりとし血液を清浄にする末期腎不全の治療法の1つで,灌流液を腹腔内に入れ,これを適当な時間で交換し体内の老廃物を除去する。普通の腹膜灌流との違いは,灌流液を長時間滞留させ毎日休み無く行うことである。従来の腹膜灌流では1時間前後で液を交換し,1日に10~15回くらい反復したが,CAPDでは1回の滞留時間を4~8時間と長くし,1日に平均4回の交換で済ませる。

CC
→コクラン共同計画

CCU Coronary Care Unit 冠状動脈疾患集中治療室
 冠動脈疾患(狭心症,心筋梗塞)患者の治療を集中的に行うためにつくられた施設。集中治療部門(ICU)の特殊なもの。
→ICU;NICU

CDE
→糖尿病療養指導士

CEA
→腫瘍マーカー

CFS
→慢性疲労症候群

CJD
→クロイツフェルト・ヤコブ病

Coombs’test
→抗グロブリン試験

COPD 慢性閉塞性肺疾患
Chronic(慢性) Obstructive(閉塞性) Pulmonary(肺) Disease(疾患)の略で,肺への空気の出し入れが慢性的に悪くなり,ゆっくりと悪化していく病気。「慢性気管支炎」「肺気腫」と言われてきたものがほぼ含まれる。かぜでもないのにセキやタンが毎日のように続いたり,階段の上り下りなど体を動かしたときに息切れを感じる。「タバコ病」とも言われる

COX―2選択的阻害薬 Cyclooxygenase-2 Selective Inhibitor
 シクロオキシゲナーゼ(COX)はプロスタグランジン(PG)などアラキドン酸代謝物を産生する酵素である。COXにはCOX-1とCOX-2があり,一部ではCOX-3の存在も報告されている。COX-2を特異的に阻害するのがCOX-2選択的阻害薬である。COX-1は基本的にどの細胞にもあり,胃粘膜や腎臓でのPGの産生に関与して,細胞保護的あるいは生体保護的調節をしている。一方,COX-2は炎症刺激が加わると発現する。したがってCOX-2選択的に阻害することにより炎症反応だけを選択的に抑制するため副作用を少なくすることができると考えられている。
→シクロオキシゲナーゼ

CP
→クリティカル・パス

CR Complete Remission(Response) 完全寛解
 ある重篤な疾患の経過中に,その疾患の自・他覚的症状や検査成績が完全に好転または消失した状態をいう。癌化学療法における治療効果では評価可能病変および二次病変が全て消失し,新病変の出現がない状態が4週間以上持続したものをいう。

CRA Clinical Research Associate
 臨床試験の遂行に関する業務を担当する者。プロトコールの審査,試験担当医師の選定,試験の開始,モニタリング,試験の終結や最終報告書の作成などの業務を行う。

CRC Clinical Research Coordinator 治験コーディネーター
治験実施施設にて治験責任医師又は治験分担医師の指示のもとで治験の進行をサポートするスタッフ。インフォームドコンセントや同意説明,参加者の心のケアなどの,医学的判断を伴わない被験者に係わる業務や,治験に係わる事務的業務,チーム内の調整をする業務 を担当する。

CRF Case Report Form
 臨床試験の患者や被験対象のデータを個々に記録するために使われる個別の症例報告書のこと。

CRO Contract Research Organization
 治験依頼者の治験に係わる業務を治験依頼者から受託する組織の総称で開発業務受託機関と定義されている。治験の依頼および管理にかかる業務の一部を担う。

CSD
→猫ひっかき病

CSF
→コロニー刺激因子

CT Computed Tomography コンピュータ断層撮影法
 コンピュータによる画像再合成システムを内蔵したX線診断法。体部の一断面の多方向よりX線を照射,走査(Scan)し,透過X線を測定して,断面(断層)上の各点のX線吸収値をコンピュータによって算出する。この方法で再合成されたX線画像がブラウン管上に描出される。

CTL療法 Cytolytic T Lymphocytes
 CTL(細胞障害性Tリンパ球)療法とは癌細胞と自己リンパ球を混合培養することにより,腫瘍に特異的なCTLを誘導し,効果増強を得る治療法。

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DBT Double Blind Test 二重盲検法
主に臨床試験の第3相で行われる試験法。プラシーボ効果を除去するために, 公正な第三者がコントローラーとなって,試験薬と対照薬の割り当てを行い,各被験者に割り付けられた治療を,被験者及び治験実施医師だけでなく,治験依頼者,被験者の治療や臨床評価に関係する治験実施医師のスタッフも知らないまま進められる臨床試験。二重盲検試験のデザインには群間比較試験(並行群間比較試験)とクロスオーバー比較試験の2種類がある。

DDS Drug Delivery System ドラッグデリバリーシステム
 薬物の投与剤形を工夫して,その体内動態を制御することによりより高い有効性,安全性を確保するように設計された薬物投与システム。その目的は放出制御による有効体液中濃度の持続,ターゲッティングによる効率的な薬物分布などである。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;コントロールドリリース;持続性製剤;ターゲッティング療法;プロドラッグ;TTS

DEHP
 ジ2エチルヘキシルフタレート(di(2-ethylhexyl)Phthalate)のこと。塩化ビニルの可塑剤として,工業用,農業用,食品用,医療用にも大量に使われている。土壌,河川,湖沼からの検出や点滴内への溶出が認められている。内分泌撹乱物質(環境ホルモン)ではないかとの指摘や魚介類,げっ歯動物への影響を認める論文が発表されて生態系への影響が心配されている。
→環境ホルモン;ダイオキシン類

DEM Drug Event Monitoring 薬剤イベントモニタリング
薬剤使用に伴って患者におこったことがらを薬剤師の視点で把握し,また収集し,さらに解析していくこと。日本薬剤師会が医薬品適正使用に資するための情報を組織的に収集するシステムの第一歩として展開している事業DEM事業は,薬局薬剤師が医薬品の安全性向上に積極的に参画する活動であり,その成果は医薬分業の社会的有用性を明示する意義をも併せ持つものといえる。

DES Drug Eluting Stent
カテーテル治療に用いられるステント(ステンレスの金網)の表面に細胞増殖を抑制する効果のある薬剤(免疫抑制剤)をコーティングしたもの。新生内膜の増殖を抑え再狭窄を予防する。
一方,従来のステントはBMS(Bare Metal Stent)。

DIC syndrome Disseminated Intravascular Coagulation syndrome 播種性血管内凝固症候群
 何らかの原因により,極端な血液凝固能亢進状態を生じ,全身の主として微小血管内に血栓の多発をきたす病態である。悪性腫瘍・急性白血病・重症感染症・劇症肝炎・肝硬変症・膵疾患・広範な外傷や熱傷・手術・ショック・大動脈瘤等に随伴することが多い。

Dipper/ Non-Dipper
 夜間血圧が昼間覚醒時平均血圧の10%以上下降するものをdipper,10%未満をnon-dipper。本態性高血圧症の患者には正常な夜間の血圧降下がみられないタイプが存在し,虚血性心疾患や脳血管障害等の高血圧性臓器障害の症状を高率に有する。

DMARD Disease Modifying AntiRheumatic Drug
 疾患修飾性抗リウマチ薬。T細胞やマクロファージなどの免疫担当細胞に作用してリウマチ(RA)の炎症を軽減,鎮静化する作用がある。その特色は①遅効性,RA発症の基礎になっていると推定される免疫異常の是正,②非特異的な抗炎症作用はほとんど認められない,③RAを完全寛解に持っていくことは難しいが,進行を遅らせる可能性がある。一般に高い頻度で副作用が発現し,重篤な副作用についての報告が多い。その主なものは腎,肝機能障害,間質性肺炎,造血器障害,感染,難治の下痢,皮膚・粘膜障害などである。

DLF
→投与量規制因子

DLST Drug Lympocyte Stimulation Test 薬剤リンパ球刺激試験
 薬剤によるリンパ球刺激試験のことで細胞性免疫検査の一種である。患者の感作リンパ球に抗原(起因薬物)とアイソトープ標識核酸前駆物質を加えて培養し,リンパ球の幼若化現象に伴って起こる核酸合成の亢進を測定する。薬剤によって起きる遅延型アレルギーの起因薬物の確定法として有用とされている。

Do処方 Ditto
 ラテン用語の「同上」を語源としている。前回と同じ処方や2回以上続けて,同じ用法,用量の薬剤の使用を指示した処方のこと。

DPC Diagnosis Procedure Combination
DPCとはDiagnosis Procedure Combinationの略で,疾病に応じて一定の金額が決められる医療機関別包括支払方式に導入された,厚生労働省が作成した新しい診断郡分類のことである。医療機関別包括支払方式は2003年4月より全国82の特定機能病院と調査協力病院の内,62施設において開始され,2006年現在,一般病院を含め200以上の医療機関で採用されている。
医療機関別包括支払方式導入後の入院費は,DPCによって評価される診断群分類包括評価による定額分とDPC対象外となる出来高評価分の医科診療報酬点数表をもとに計算される額と食事療養費の総和となる。診断郡分類包括評価は「診断群分類点数表」と呼ばれる包括範囲点数表をもとに下記の式で算定する。
診断群分類包括評価=DPCの1日当たり点数×医療機関別係数×入院日数×10円

DPI Dry Powder Inhaler
 粉末状の医薬品を専用の吸入器を用いて自力で吸入するドライパウダー吸入器のこと。喘息発作の予防や治療に用いられる吸入製剤である。エアゾール製剤と違ってフロンガスが使われていないのでオゾン層の破壊や地球の温暖化の問題はない。

DSU Drug Safety Update 医薬品安全対策情報
 日本製薬団体連合会が厚生労働省医薬局の監修を受けて,1年に10回を目安に医療用医薬品の使用上の注意改訂等をすべての医療機関・薬局に迅速かつ網羅的に伝達するもの。

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EBM Evidence Based Medicine
 個々の患者ケアについての意志決定の場で,あやふやな経験や直感に頼らず,最良の科学的根拠(evidence)に基づいて,最適な医療・治療を選択し実践するための方法論である。
→疫学的調査;ケースコントロール研究;コホート研究;プロスペクティブ;メガスタディ;薬剤疫学;レトロスペクティブ

ED Erectile Dysfunction 勃起不全または勃起障害
 40~60代の日本人男性の半数以上が罹患していると言われる,男性性器海綿体への血液流入不全状態。要因としては,うつ病やストレスなどの精神面だけでなく,糖尿病や高血圧症などの血管系の障害によっても引き起こされるほか,喫煙や飲酒などの生活習慣も大きく関与している。クエン酸シルデナフィル(バイアグラ?)や塩酸バルデナフィル(レビトラ?)など,ホスホジエステラーゼ-5 阻害作用を有する治療薬がある。硝酸塩系物質との併用で急激かつ重篤な血圧低下による死亡例が報告されている。
→生活改善薬

EPR効果 Enhanced Permeability and Retention effect
 高分子や微粒子が癌組織に蓄積しやすい性質をもつ効果。癌組織において,その増殖のために血管の新生が常に生起しており,その血管は構築性が悪く,また透過促進因子の存在から極小血管壁の通過性が正常細胞にくらべて約3~10倍大きくなっている。このため,高分子や微粒子は容易に透過し,がん組織内に蓄積する。さらに,癌組織では,リンパ管が未発達で欠如している。一般に,正常細胞では漏出した高分子や微粒子はリンパ管へ移行されて排泄されるが,癌組織では漏れだしてこれらの物質は排泄されずに長時間残存する。

EGFR Epidermal Growth Facter Receptor 上皮成長因子受容体
 細胞膜を貫通する受容体型チロシンキナーゼのひとつで細胞増殖や分化などに関連した刺激を細胞内シグナル伝達系へ伝える働きがある受容体。血球以外のあらゆる細胞に存在し,正常な組織の新陳代謝,傷害を受けた際の再生に不可欠の生体内物質である。多くの癌腫においてEGFRの過剰が報告されている。

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FDA Food and Drug Administration 米国食品医薬品局
 保健教育福祉省に属し,食品・医薬品・化粧品・動物薬・医療用具等の規制を担当している連邦機関。

FIC Index Fractional Inhibitory Concentration index
 2種類の抗菌薬併用の効果が,相乗,相加あるいは拮抗であるかを知る方法。
   FIC index ≦ 0.5 相乗作用  1<FIC index ≦ 2 不関
0.5<FIC index ≦ 1  相加作用  2<FIC index   拮抗作用

FPIA
→蛍光偏光免疫測定法

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GCP Good Clinical Practice
 医薬品の臨床試験の実施に関する基準。医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行われる臨床試験の実施に関する遵守事項を定め,その臨床試験が倫理的な配慮のもとに,科学的に適正に実施されることを目的として平成元年10月2日に通知された。平成9年4月に被験者の保護及び治験データの信頼性を2大柱として,試験者の人権保護・安全性確保,治験の質の確保,データの信頼性確保,責任・役割分担の明確化,記録の保存を明文化した省令として,新たに新GCPが施行された。

G-I療法 Glucagon-Insulin therapy
 グルカゴンとインスリンの両ホルモンを用いる急性肝不全の治療法の1つである。本療法は肝細胞障害の抑制効果,障害肝における肝再生促進効果を有していることが判明しているが,両ホルモンのいずれが主体であるかについては一致した見解はない。

GLP Good Laboratory Practice
 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準。

GLP-1 glucagon-like peptide 1 グルカゴン様ペプチド-1
グルカゴンと同じ遺伝子proglucagonの配列から作られるペプチド。小腸から分泌されるインクレチン作用因子の一つで,ブドウ糖濃度依存性インスリン分泌促進,ランゲルハンス島β細胞増殖,グルカゴン分泌抑制,胃排泄能抑制,中枢性食欲抑制などの作用がある。GLP-1を,その機能を保ちつつ,体内で分解されにくいように構造を変えた薬剤が開発中である。

GSP Good Supplying Practice
1975年10月に日本医薬品卸業連合会が策定した,医薬品の供給と品質管理に関する実践規範。医薬品卸売業は,薬事法により「一般販売業」の中で特に「卸売り一般販売業」として法的定義が明確化されており,大量かつ多種類の医薬品を適正に保管管理し,迅速・円滑に供給できる体制を整備する必要があることから,医薬品の品質試験記録,保管記録,新薬などの流通履歴を明確にするための出納記録などを整備するために自主的に策定した規範。

GMP Good Manufacturing Practice
 品質の高い製品を製造するための実施要領。医薬品の製造を厳密な管理のもとで行うために定められたこのGMPは,少なくとも,①人為的な誤りを最小限にする ②医薬品に対する汚染及び品質変化を防止する ③高度な品質を保証するシステムを設計する。以上3つの要件を満たすことが求められている。1974年にGMP基準が定められ,さらに1979年に法制化された。

GPMSP Good Post-Marketing Surveillance Practice
 市販後医薬品調査実施基準である。新医薬品が承認までに確認できない有効性・安全性の問題を実際の医療現場での成績を基に確認するために,厚生省が市販後調査についてその実施基準として定めたもの。平成5年から実施されている。

GPP Good Practices in Pharmacy
 薬局等の管理薬剤師の権限を明確にし,医薬品供給の安全を確保するため,日本薬剤師会が設定した薬局業管理薬剤師規範である。

GTT Glucose Tolerance Test
糖尿病診断のためのブドウ糖負荷試験。OGTT( Oral Glucose Tolerance Test;経口ブドウ糖負荷試験)とも言う。ブドウ糖75 gを服用,服用前後の血糖および血中インスリン(インスリン治療患者などではC-ペプチド)の経時的変動から,耐糖能および膵島B細胞の機能を評価する。

GUP Good Using Practice
 薬局及び病院・診療所の薬局における医薬品の適正な使用に関する実践規範である。

GVHD Graft Versus Host Disease 移植片対宿主病
組織適合性抗原の異なる宿主に移入された移植片中のリンパ球が宿主内に生着して,宿主の組織を非自己と認識し,その組織を攻撃する病態のこと。輸血後に発症する重篤な輸血副作用として問題視されている。

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hANP
→α型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド

2受容体拮抗薬 H2-Bloker
 胃壁細胞膜上にある受容体の一つであるヒスタミンH2受容体を遮断することで酸分泌を抑制する薬剤。スイッッチOTCとして薬局で処方せんなしに入手できるものもある。

HD
→血液透析

HGF hepatocyte growth factor
 肝細胞増殖因子のことで,肝炎治療・肝硬変の予防・肝摘出後の肝再生促進など新しい肝臓治療薬として開発が期待されている。

HMG-CoA還元酵素阻害薬 HMG-CoA reductase enzyme inhibitor
 HMG(3-hydroxy-3-methylglutaryl)-CoAのHMGと構造が似ているため,HMG-CoA還元酵素に対して拮抗阻害作用を示し,その結果コレステロールの体内合成を阻害する薬剤

HLA Human Leukocyte Antigen
 HLAは細胞表面に存在する抗原で3つの面から注目されている。①臓器移植における組織適合性。HLAの不一致が著しければ,拒絶反応により生着し得ないため,その一致をはかることが重要。②いくつかの疾患と患者のHLAが相関することで,疾患の遺伝的背景・病因を考える上で診断の参考になる。③免疫機構における役割。抗原はまずマクロファージに取り込まれ処理された後,その表面にあるHLAと結合し,初めてリンパ球によって認識される。自己免疫疾患患者に特定のHLAが多いのは,病因となる自己抗原がそのHLAと結合しやすいためではないかと考えられている。

HPN Home Parenteral Nutrition 在宅中心静脈栄養
 在宅において中心静脈栄養(TPN)を行うこと。HPNを施行する際,薬剤師はTPN調製だけでなく,薬剤の保管や消毒法等,患者指導についても重要な使命を有する。
→IVH;TPN

HUS
→溶血性尿毒症症候群

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IC
→インフォームドコンセント

ICD
→国際疾病分類

ICH International Conference on Harmonisation
 「医薬品の承認審査に関するハーモナイゼーション」を示し,日米欧3極の医薬品開発規制を調和一致し,「データの国際的相互利用」を行っていこうというものである。これにより国ごとに治験を繰り返すことが避けられ,優れた新薬が各国で迅速に承認されて臨床で使用することが可能となる。

ICU Intensive Care Unit 集中治療部
 重篤な救急患者・重症患者・大手術後の患者等に対し,循環・呼吸・代謝等の変動を絶えず監視しながら必要に応じて適切な処置を行い,患者の状態が改善され普通病室に帰れるようになるまで収容する部門をいう。
→CCU; NICU

ICU syndrome Intensive Care Unit syndrome
 ICUに収容された患者が,収容後2日目頃からせん妄・うつ状態・妄想等の症状を呈すること。その症状が3~4日あるいは転出まで続き,症状の消失後は後遺症を残さないものと定義されている。

ICT infection control team 感染対策チーム
医師,看護師,薬剤師,検査技師などから構成される。院内での感染の発生や拡散を防止するために,病棟などを巡回し,医療スタッフに対して感染防止の啓発や感染症への対処などについて指導を行うこと,また医療スタッフの教育や必要に応じた調査,研究を行う。

IDDM
→1型糖尿病

IFN
→インターフェロン

IL
→インターロイキン

IMT intima-media thicknaess 内膜中膜複合体厚
 頚動脈の超音波断層装置画像から動脈の内膜と中膜の厚さの合計である頚動脈内膜・中膜複合体厚を計測し,動脈硬化の指標とする検査法。特に糖尿病に伴う動脈硬化の診断に用いられる。1.0mm以下が正常値。

INR International Normalized Ratio
 PT(Ratio)に試薬ごとの国際感度指数 (ISI: International Sensitivity Index) を乗じた値で,以下のように計算される。TT(トロンボテスト)に代わって国際標準化されてきている。
PT(INR)=(患者秒数/正常秒数)ISI

IP
→イオントフォレシス

IRB
→治験審査委員会

ISA
→内因性交感神経刺激作用

ITP
→特発性血小板減少性紫斑病

IVH Intravenous Hyperalimentation 経中心静脈高カロリー輸液 
消化管に病変があって経口摂取が不可能な患者に対して,中心静脈(主に鎖骨下静脈・頸部静脈)からカテーテルを挿入し,点滴静注する栄養素を含む輸液のことである。末梢静脈からの点滴静注よりも多量のカロリーが得られるので,病態からの回復や発育に必要な栄養をまかなう時に適用される。主な組成は,糖・アミノ酸・脂肪乳剤・無機質・ビタミン等で,開始液,維持液と配合が異なり,施設により標準化している。
→HPN;TPN

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JANコード Japanese Article Number
 共通商品コード用バーコード規格である。薬業界において昭和53年,日本薬品卸業連合会の提唱により,メーカー・卸間の統一コードが設定された。厚生省では,これとは別に薬価基準収載医薬品コードを作り,薬価調査・薬事工業生産動態調査に利用している。

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LAK療法 Lymphokine Activated Killer
 癌患者から採血,分離したリンパ球に,培養液中で数日間インターロイキン2(IL-2)を作用させて活性化させると,抗癌作用を発揮することが発見され,この活性化したリンパ球をLAK細胞と命名した。このようにして培養され,増殖したLAK細胞を再び癌患者の体内に戻すのがLAK療法で,自己リンパ球をいわば養子に出す形となるため,養子免疫療法とも総称されている。

LD
→ライム病

Lyell症候群
→中毒性表皮壊死症

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MAO阻害薬 Monoamine Oxidase Inhibitor
 生理活性を有するアミン類の酸化的脱アミノ化を触媒する酵素の総称であり,全身に広く分布する。脳内においては,脳内モノアミン(NA・5-HT等)を分解する酵素としてMAO-AやMAO-Bが多く存在する。MAO阻害薬は,MAOを阻害し,組織でのモノアミン濃度を増加させる。国内では選択的MAO-B阻害薬レセルギン(エフピー錠)が抗パーキンソン病薬として使用されている。

MARTA Multi-Acting Receptor-Targeted Antipsychotics 多元受容体標的化抗精神病薬
 多種受容体に作用する多元作用型(multi-acting; MA)と,疾患関連部位に選択的に作用する受容体標的化(receptor-targeted: RT)の2つの要素から構成される薬効群のこと。多数の神経物質受容体に対する作用を介して精神分裂病の様々な症状(陽性症状のみならず,陰性症状,認知障害,不安症状,うつ症状など)に対する薬効が発現する多元作用型(MA)と多くの受容体に対する作用が脳内作用部位への選択性につながる(受容体標的化:RT)という,従来の定型抗精神病薬およびSDA (serotonin-dopamine antagonist)を含む非定型抗精神病薬とは異なる薬理学的特徴がある。

MDI
→定量噴霧式吸入器

MDRP Multidrug resistant Pseudomonas 多剤耐性緑膿菌
 カルバペネム, ニューキノロン, 抗緑膿菌用アミノ配糖体の3系統の抗菌薬に広範な耐性を獲得した多剤耐性株。その分離率は国内では数%以下と推定されているが, 悪性腫瘍などを基礎疾患に持つ患者からそのような株がしばしば分離されており, 一部では院内感染症の原因菌となっている。
→院内感染;院内肺炎;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MRSA;VRE

MedDRA/J Medical Dictionary for Regulatory Activities/J
日・米・欧で共通に用いる医薬用語を定めた「国際統一用語集」のことである。医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(ICH) において検討が行われ,1999年3月より「ICH国際医薬用語集日本語版」として利用が可能となっている。日本においては,日本公定書協会が維持管理機構となっている。厚生省医薬安全局から1999年12月に出された通知では,MedDRA/Jは,「医薬品副作用・感染症症例報告書」への使用,臨床試験資料,使用上の注意など医薬品添付文書中の副作用用語の使用を目的としている。

mEq milli-Equivalent ミリイクイバレント
体液濃度を表す単位の1つで,化学反応の量的な関係をもとにした数字である。1モル量をその原子価で除した量がEq/Lの質量(g)であるが,体液は電解質の濃度が非常に薄いので,その1/1000,milli-equivalent 1(mEq/L)を用いている。

MIC Minimum Inhibitory Concentration 最小発育阻止濃度
 ある細菌に対してその発育を阻止するある薬剤の最小希釈濃度のことである。通常,mg/mLで表し,菌の種類・菌株の違いによってそれぞれ異なる値を示す。

MR Medical Representatives 製薬会社の医療情報担当者
 以前は「プロパー」と呼ばれ,医療機関側と価格交渉する等,営業担当としての役割が強かった。現在では,医療機関に出入りして,医師・薬剤師等の医療従事者に医薬情報を伝えること等が主な仕事となっている。
→MR認定試験;MS

MR認定試験
 日本製薬工業協会が中心となって設立した財団法人「医療情報担当者教育センター」が,MR(製薬会社医療情報担当者)の資質向上を目的として行う試験である。受験資格は,製薬企業に属し,企業内教育研修の修了証を取得した者。
→MR

MRI Magnetic Resonance Imaging 磁気共鳴映像法
 人体を一定の磁場の中に入れて,高周波の電磁波エネルギーを与え,生体内原子と共鳴現象を起こした時に放出されるエネルギーを信号として取り出し,断面図でも描き出せる医用電子機器による検査法。多方面の角度から断面図が作成できるので診断が鮮明かつ容易になり,X線の被爆もなく,造影剤も不要といった利点がある。

MRSA Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
 メチシリンを含む多数の抗生物質に耐性を示す黄色ブドウ球菌。第三世代セフェム系抗生物質の繁用につれて耐性を示すものが増加し,現在では院内感染の代表的菌種となっている。術後のMRSA感染は重症・難治性である。
→院内感染;院内肺炎;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;VRE

MS Marketing Specialists 医薬品卸売業の営業担当者
 製薬会社情報担当者をプロパー(Propaganda)からMR(Medical Represantatives) と呼ぶようになり(平成3年),対比して卸担当者のことをMSと呼ぶようになった。薬事法に「卸売一般販売業の許可を受けた者は医薬関係者に対し,医薬品情報を提供するよう努めなければならない」という努力規程があり,医薬品を納入するだけでなく,MRとは違った医薬情報の提供が望まれている。
→MR

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NICU Neonatal Intensive Care Unit  新生児集中治療部
極小未熟児を始めとする重篤な状態にある新生児に対し,循環・呼吸・代謝等を絶えず監視しながら,高度の医療を強力かつ集中的に行う部門。
→CCU;ICU

NIDDM
→2型糖尿病

NNT Number Needed to Treat
 1人に好ましくない転帰が生じるのを防ぐために,治療しなければならない患者数。絶対危険減少率の逆数。

NPC/N
→非タンパク質カロリー/窒素比

NST nutrition support team 栄養管理チーム
医師,薬剤師,看護師,栄養士,言語聴覚士などがチームを組み,夫々の専門知識と技術を提供し,適切な栄養管理を実施する。これにより早期退院,社会復帰援助,QOL向上,医療費抑制が期待できる。

NST Non-Stress Test
 子宮収縮等のストレスを胎児に付加することなく,分娩監視装置により,胎児心拍数,子宮収縮ならびに妊婦胎動自覚を記録し,正常胎児では胎動によって心拍数の増加を認めるが,何らかの原因で心拍数増加が減少・消失することを利用した検査

NUD Non Ulcer Dyspepsia
 上腹部不定愁訴。潰瘍や癌等の器質的な異常はないが,機能に異常がある胃疾患であり,1987年,米国消化器学会で提唱された。胃食道逆流型・運動不全型・潰瘍症状型・非特異型の4タイプに分類され,それに準じた治療薬がマニュアル化されている。

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O-157
 病原性大腸菌の1種で,日本では1996年学童を中心に全国的に集団発生を起こした。感染した場合,菌体内毒素ベロトキシンにより,出血性大腸炎及び溶血性尿毒症症候群(HUS)が起こり,死に至ることもある。潜伏期は4~8日と他の食中毒菌と比べて長い。
→溶血性尿毒症症候群

OTC Over The Counter Medicine 非処方せん薬
 一般の薬局・薬店等で,患者が処方せんなしに購入できる医薬品のことで,薬局のカウンター越しに販売されることから,OTCと呼ばれている。医療用医薬品が一定期間臨床で使われ,安全性が確認された後にOTCとなることを「スイッチOTC」と呼ぶ。

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P-糖タンパク質 P-glycoprotein
 癌細胞の膜上などに発現し,細胞内に取り込まれた抗癌剤などを能動輸送により細胞外へ排出させる機能を有する糖タンパク質である。そのポンプ作用は抗癌薬に対する選択性が低いため,構造・作用機序の異なる多くの抗癌薬が同じように排出され癌細胞は耐性を獲得する。P-糖タンパク質が,癌細胞の多剤耐性における中心的機能を担うと考えられている。

P-450
 ヒトをはじめ動物の肝ミクロソーム等に存在するへムタンパク質で,一酸化窒素と結合して450nmに特異的な吸収極大を持つことよりこの名が付いた。基質特異性が低く,同一の分子種により異なる物質が代謝されるため,薬物相互作用が問題となる。

PAE Post Antibiotic Effect 抗生物質有効濃度後効果
 細菌に抗生物質を一定時間作用させた後,薬剤を除去した時に見られる細菌に対する影響(持続的に再増殖が阻止される効果)をいう。一般に時間で示される。

PAF Platelet Activating Factor 血小板活性化因子
 1972年,Benvenisteらは,ウサギ好塩基球をIgEにて刺激した際に遊離され,血小板を活性化する物質をPAFと命名した。PAFは脂質ケミカルメディエーターであり,微量で①マクロファージを含めた好酸球・好中球等の血管内皮への接着の促進や,局所への集積・活性化等炎症の促進②微小血管の透過性を亢進し,血漿成分を漏出させ,局所に浮腫を形成③in vivoで気道を収縮④気道過敏症の亢進⑤気道過分泌等の生理活性を示す。

PBCT
→末梢血幹細胞移植

PCA
→患者自己鎮痛法

PDEⅢ阻害薬
→ホスホジエステラーゼⅢ阻害薬

PDT PhotoDynamic Therapy 光線力学的療法
 単にレーザー治療と呼ばれることもある。薬剤とレーザー光によって引き起こされる光化学反応を利用した治療法。①癌親和性光感受性薬剤を静脈注射②癌組織と正常組織における薬剤濃度差が48-72時間後に最大となった時点でレーザー光を照射③レーザー光により,癌に取り込まれた薬剤が励起され,組織中に活性酸素を生成し,この活性酸素の殺細胞性によって癌細胞を壊死させる,などの治療法がある。
→活性酸素

P-drug Personal drug
 処方医が使用する基本的な治療薬剤を,自分自身でエビデンスに基づいて吟味して熟知した上で事前に選択しておき,個々の患者に対してはその適合性を確認しながら薬物治療を行う考え方。

PEIT Percutaneous Ethanol Injection Therapy 経皮的エタノール注入療法
 肝細胞癌の治療に用いられ,超音波下で腫瘍内に直接純エタノールを注入し,蛋白凝固作用によって癌細胞を凝固壊死させる治療法で,症例によっては肝切除とほぼ同等の治療効果が得られる。エタノールの注入量は腫瘍径により異なるが,通常2~6mL,週2回で計4~6回前後施行する。副作用としては注入時の一過性の疼痛,酩酊感,発熱などがあるが,肝機能への影響は軽度で一過性である。

PEM Prescription Event Monitoring 処方イベントモニタリング
 報告する内容を副作用あるいは副作用と思われるものに限定せず,薬の使用後に起きたさまざまなイベント(事象,出来事),例えば患者の訴え,合併した疾患,臨床検査データなどの情報を収集し,これら集められたイベントを分析,評価することで新たな副作用を発見しようとするもの。

PG
→プロスタグランジン製剤

PL法 Product Liability 製造物責任法
 日本においては1995年7月1日に施行された「製造物の欠陥により他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,これによって生じた損害を製造業者等が賠償する制度である。」(製造物責任法第3条)。医療機関において薬剤師の行う調剤行為は「医療サービスの一環」としてみなされ,PL法の対象とはならないと考えられいる。

PMS Post Marketing Surveilance 市販後調査
新薬発売後に医薬品製造業者が行う調査で有効性,安全性の確認とともに,市販前(治験)では得られなかった情報の収集,提供を目的として行われる。市販後調査の実施は,GMPSPにより医薬品製造業者に対して義務づけられて3つの制度によって成り立っている。
1. 再審査制度:新薬を発売したメーカーが,発売後6年以内に有効性,副作用などの安全性について調査し,再審査を申請する制度。
2.再評価制度: 医薬品として承認されたり,再審査を受けた後5年たった時点で,もう一度薬としての妥当性を見直そうというもので,以後5年ごとに繰り返す。
3.副作用・感染症報告制度:薬を使用した病院,販売した薬局,情報をキャッチした製薬企業から 副作用及び感染症を報告する制度。

POMR Problem Oriented Medical Record
 問題志向型システム(POS)に基づく問題志向型診療記録のことであり,4つの項目によって構成される。①基礎データ(患者プロフィール・病歴・診察所見・検査データ・系統別病歴) ②問題リスト(患者の問題点の箇条書き・問題の解決状況) ③初期計画(診断計画・治療計画・教育計画の立案) ④経過記録。
→POS

POS Problem Oriented System 問題志向型システム
 患者の問題を患者サイドで考え,解決していくシステムである。問題を取り上げ,分析・総合・計画・実行するためのシステムである。

PPAR Peroxisome Proliferator Activated Receptor
 日本語ではペルオキシソーム増殖剤応答性レセプターと呼ばれる核内レセプターである。現在α,γ,δ3種類のサブタイプが知られており,作用が明らかになっているのはαとγである。PPARαは現在高脂血症薬として臨床で用いられている(フェノフィブラート)。PPARγは倹約遺伝子のひとつと考えられており体内に脂肪などを貯えインスリン抵抗性示す働きを有することが知られている。

PPI
→患者用添付文書

PPI Proton Pomp Inhibitor プロトンポンプインヒビター
 胃壁細胞の細胞膜上にある受容体に,各種酸分泌刺激物質が結合することで,胃酸の分泌反応が起きるが,この反応の最終過程では,壁細胞内からH+を放出し,K+を取り込むプロトンポンプという酵素が働いている。この酵素の働きを阻害して胃酸分泌を抑制する薬剤のことである。

PR Partial Remission(Response)  部分寛解
 ある重篤な疾患の経過中に,その疾患の自・他覚的症状や検査成績が部分的に好転または消失した状態をいう。臨床試験の科学的方法の中でエンドポイントと有効性の基準用語として使用されている。
→CR

PRSP Penicillin Resistant Streptococcus Pneumoniae ペニシリン耐性肺炎球菌
 肺炎球菌は肺炎,中耳炎を引き起こす強毒のグラム陽性球菌だが,ペニシリンに対して耐性を示すもの。近年,世界的に検出され,すべてのβラクタム剤に比較的高い耐性率を示すことで問題となっている。
→MRSA

PTCA Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty 経皮的冠状動脈形成術
 動脈硬化により細くなった冠動脈にバルーン(風船)カテーテルを入れ,それを膨らませて狭窄部を拡張する治療法である。開胸する必要がないので患者の精神的・肉体的苦痛が少ない。しかし,PTCA後の再狭窄率は20~40%と言われている。

PTSD Post-Traumatic Stress Disorder 心的外傷後ストレス障害
 自然災害・戦争・交通事故・誘拐・監禁・性的虐待等で被害を受けたり,身近な人の死を目の当たりにする等の体験をすると,人は心に耐え難い強烈なショックを受ける。これを心的外傷(トラウマ)と呼び,それによるストレスが心身に引き起こす様々な障害。
→パニックディスオーダー

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QOL Quality Of Life
 主に「生活の質」「生存の快適度」等と訳されている。1960~70年に癌末期患者の治療のあり方への反省から,QOLが医療の目指すべき目標として表現されてきた。QOLを取り入れる疾患には,悪性腫瘍・高血圧・関節リウマチ・腎透析等の慢性疾患がある。
→ファーマシューティカルケア

QT延長
 心機能におけるQT時間が延長すること。QT時間は,QRSの始めからTの終わりまでの時間で,心室の興奮が始まってから消えるまでの電気的心室収縮時間を表す。心筋障害(心筋炎,心筋虚血)・低カルシウム血症・キニジン中毒等で延長する。
→Tdp

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RAD-AR協議会
→レーダー協議会

Rゾーン方式 Reasonable zone method リーズナブルゾーン方式
 日本製薬団体連合会等により提案された薬価算定方式で,現行の加重平均値一定価格幅方式に相当する。医薬品取引において取引数量の多少・取引包装の大小・支払条件の差異等から生じる価格差及び医薬品の保管・管理に伴って発生する費用等を包含したものを一定の範囲(Rゾーン)とし,薬価基準より一定の範囲内に医薬品取引の加重平均価がある場合は薬価を据え置き,それを越える場合はその超えた部分だけ薬価を引き下げる方式である。

Rp Recipe
処方せんの筆頭に記載される言葉で「処方」「処方せよ」「受け取れ」の意味があると言われている。接頭語の「re-」+ラテン語の「capere」(受け取る)を語源としている。

RRR Relative Risk Reduction 相対リスク減少率
 治療しない場合の罹患のうち,治療によってどの程度罹患リスクが減少するかを表したものである。RR(Relative Risk:治療群とコントロール群の罹患率の比)との関係でみると,1-RR となる。

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SARS severe acute respiratory syndrome 重症急性呼吸器症候群
SARSコロナウイルスの感染による重症急性呼吸器疾患。2002年末より中国で発症例が報告され多くは2~7日,最大10日間の潜伏期間の後に,急激な発熱,咳,全身倦怠,筋肉痛などのインフルエンザ様の前駆症状が現れる。2~数日間で呼吸困難,乾性咳嗽,低酸素血症などの下気道炎症が現れ,胸部CT,X線写真などで肺炎像が出現する。肺炎になった者の80~90%が1週間程度で回復傾向になるが,10~20%が呼吸窮迫症候群を起こし,人工呼吸器などを必要とするほど重症となる。致死率は10%前後で,高齢者の致死率はより高くなる。平成15年7月5日,WHOが最後のSARS伝播確認地域である台湾の指定を解除し終息を宣言。終息宣言までに感染者数8,098名,死者774名が発生。この期間の日本における発症例はない。

SBA Sammary Basis of Approval 新医薬品承認審査概要
 新医薬品適性使用の推進等の為,個々の新医薬品について,中央薬事審議会における審議内容を厚生労働省が取りまとめた概要。具体的には,承認の根拠となった治験データや厚生省の審査概要,薬の副作用などが記載される。

SBS
→シックビル症候群

SIDS Sudden Infant Death Syndrome  乳幼児突然死症
 健康状態・既往歴からその死亡が予測できず,しかも死亡状況・剖検によってもその原因が不詳であり,乳幼児に突然の死をもたらす症候群。窒息等の事故によるものとは異なり,原因は呼吸器・中枢神経・循環器系の異常によるものと指摘されるが,決定的原因は不明。危険因子として,うつ伏せ寝・人工栄養・保護者の喫煙習慣等があげられている。

SMO Site Management Organization 治験施設支援機関
医療機関で実施する治験の管理あるいは業務を支援する組織。CROと異なり,医療機関(治験実施施設)側の立場で業務を行うのが特徴。

SNRI Serotonin-Noradrenarine Reuptake Inhibitor
 セロトニン神経系とノルアドレナリン神経系の双方に対して再取り込み阻害作用を持ち,他の受容体に対する阻害作用を持たない。このため,SSRIと同様三環系抗うつ薬に比べて副作用の発症頻度が低い。

SOAP
 薬剤管理指導記録等に個々の問題点の経過状況を記載する際の形式で,以下の4項目より構成されている。S(Subjective);患者が提供する主観的な情報,O(Objective);客観的な情報,A(Assessment);SとOの情報を解釈・分析・評価する,P(Plan);指導計画。
→POS

SOD Superoxide Disumutase 活性酸素分解酵素
生体内で発生する活性酸素やフリーラジカルを消去し,細胞障害を防ぐ酵素の1種である。このような予防的抗酸化作用を有するものはカタラーゼ・グルタチオンペルオキシダーゼ・ビタミンCやE等がある。
→活性酸素

SOP Standard Operating Procedures 標準業務手順書
 治験の依頼に係る治験実施計画書の作成,実施医療機関および治験責任医師の選定,治験薬概要書の作成などの業務,および治験の管理に係る治験薬の管理,副作用情報等の収集,モニタリングおよび監査の実施,記録の保存などの業務についての標準的な手順書のことをいう。

SSRI Selective Serotonin Reuptake Inhibitor 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
 うつ病には,セロトニン・ノルエピネフリン等の神経伝達物質が関与しているが,SSRIはセロトニンのみの選択的な再取込み阻害作用を有する。従来の非選択的な薬剤は,抗コリン作用や抗ヒスタミン作用による副作用(口渇・排尿困難・眠気等)があり,大量投与では心毒性もみられるが,SSRIではこれら副作用が少ない。

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TAE Transcatheter Arterial Embolization 肝動脈塞栓術
腫瘍の栄養血管に選択的に血管カテーテルを挿入し,塞栓物質と抗癌薬を注入し,阻血による壊死効果に加え,抗癌薬を長時間高濃度に腫瘍部位に停滞させ腫瘍の壊死を図る。塞栓物質としては,注入数日から数週間で吸収される長期塞栓物質であるゼラチンスポンジが繁用される。更に油性造影剤であるリピオドールが注入されることが多い。

TAO
→バージャー病

TDM Therapeutic Drug Monitoring 血中薬物濃度モニタリング
個々の患者に適した投与設計を行い,適正な薬物療法を行うために血中薬物濃度を監視することである。①薬物体内動態の把握②医薬品適正量投与③多剤併用の良否④中毒の早期発見⑤noncomplianceの発見等で,適正な薬物療法が行える利点がある。対象薬剤には,治療有効域の狭い薬剤や中毒域と有効域が接近し,投与方法・投与量の管理の難しい薬剤があげられる。

Tdp Torsades de pointe(トルサード・ド・ポアント/仏)
 心室頻脈の1種で,QRSが基線を軸に捻れたように見え,頻脈に先行してQT時間が異常に延長する。さらに,心室細動に移行し,急死の原因となることもある。原因は,薬剤性・電解質異常・中枢神経系障害・心筋疾患等があげられる。

TEN
→中毒性表皮壊死症

TNF Tumor Necrosis Factor 腫瘍壊死因子
 In Vitro,In Vivo で腫瘍細胞壊死を誘発する物質として発見され,主に活性化マクロファージやマイトジェン刺激したリンパ球等の細胞から産生されるサイトカインである。その作用は極めて多岐にわたり,生体防御反応や細胞機能の調節において重要な役割をはたしている。

TP
→血清総蛋白

t-PA tissue-Plasminogen Activator 組織性プラスミノーゲンアクチベーター
 プラスミノゲンのArg-Valを切断してプラスミンに変換するプロテアーゼで,強力な血栓溶解作用を示す。ウロキナーゼやストレプトキナーゼに比べフィブリンに対する親和性が高く,フィブリン非存在下ではその活性は非常に低いため血栓を特異的に分解することができる。しかし,半減期は短く点滴静注する必要があり,大量投与を必要とし脳出血を起こすことがある。心筋梗塞と脳梗塞に適応のある製剤が市販されている。

T/P比 Trough/Peak
 降圧効果のTrough(最小降圧効果)とPeak(最大降圧効果)の比を表し,ある1回の投与効果の持続時間を予測するものである。一般に,ある1回投与のTrough値の効果がPeak値の50~70%に維持されていれば,適切な投与間隔であり,この投与間隔中の効果減弱が少なければ少ないほど投与間隔は適切となる。

TPN Total Parenteral Nutrition 中心静脈栄養法
 各種疾患や術後で,経口又は経腸での栄養摂取が不可能となった場合,上大静脈内にカテーテルを留置し,これを通してブドウ糖・アミノ酸を含む高張液,脂肪乳剤,ビタミン剤,微量元素等を持続点滴し,栄養状態の改善を図る方法である。
→HPN;IVH

TTS Transdermal Therapeutic System 経皮治療システム
 薬物の投与部位として皮膚を用いる方法である。薬物貯蔵層と放出制御層の二層に分かれているものや高分子マトリックス中に薬物が分散しているもの等,種々の放出制御機構が取り入れられている。この製剤の特徴として①初回通過効果を受けない②連続投与や必要に応じて中断(剥離)することが可能で,使用性に優れる③胃腸を通過しないため,消化器の副作用が避けられる等,他の投与ルートに比べ利点が多い。
→アンテドラッグ;イオントフォレシス;コントロールドリリース;持続性製剤;ターゲッティング療法;プロドラッグ;DDS

TTT
→チモール混濁試験

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VDT
→電磁波障害(視覚表示装置)

VRE Vancomycin Resistant Enterococcus バンコマイシン耐性腸球菌
 感染力はMRSAより弱いが(弱毒性)伝播力が非常に強い耐性菌である。腸球菌は腸管内の正常細菌叢であるが,時に腹腔内感染・尿路感染・心内膜炎・敗血症等を起こす。腸球菌感染に対しては,軽症ではペニシリン系(ABPC)を投与し,重症例・敗血症・心内膜炎等ではこれにゲンタマイシンを併用する方法が標準的治療法として用いられる。
→院内感染;院内肺炎;感染経路別予防策;コンプロマイズドホスト;スタンダードプリコーション;日和見感染症;MDRP;MRSA