部会・委員会
医薬情報部プレアボイド推進小委員会
プレアボイドフォーラム東京2023
プレアボイドフォーラム東京2023が開催されました
今年のプレアボイドフォーラム東京2023も、新型コロナ感染症の状況を考慮し、2021年より行っているWEB 形式での開催 となりました。
今年は2022年度診療報酬改定に着目し、「若手薬剤師にも知ってほしい周術期・小児領域」というテーマで、聖路加国際病院 薬剤部 大森 崇行 先生に『周術期領域におけるプレアボイド』について、国立成育医療研究センター 薬剤部 丹沢 彩乃 先生に『小児領域における薬学的アプローチ』についてご講演頂くとともに、東京都内の会員ご施設より、2施設の先生をお招きして各施設におけるプレアボイドに関連した活動についてご講演頂きました。
【開催概要】
日時:2023 年 3 月 18 日(土)10:00~13:00
場所:Zoom を用いたWEB 開催
共催:一般社団法人東京都病院薬剤師会、第一三共株式会社
【プログラム】
■開会挨拶
一般社団法人東京都病院薬剤師会 会長 林 昌洋 先生
はじめに、一般社団法人東京都病院薬剤師会 会長 林 昌洋 先生より、新型コロナ感染症が5類に移行するタイミングが近づきつつある一方で、これからますます高齢化が進む状況下において、薬物療法にかかわるリスク回避に我々薬剤師が果たすべき役割は、質的にも量的にも増えてくると思われます。
また来年には、これから先の道標となる診療報酬改定も控えています。
チーム医療の中で薬剤師の果たす役割が診療報酬にもつながっていくこととなりますが、プレアボイド報告はその証拠であるとともに、病棟、病院、病薬レベルにおいてさまざまな活用も考えられます。
プレアボイド報告件数は全国的にも大きな広がりを見せておりますが、さらに、多くの病院薬剤師が活躍されている証拠を残していくためにも、また、これからますます医療現場で活躍していくためのきっかけとして、本日のプレアボイドフォーラムが有意義な時間となることを祈念してしますとして、開会のご挨拶をいただきました。
■基調講演 『当院のプレアボイド報告の現状』
慶應義塾大学病院 薬剤部 村松 博 先生
東京都病院薬剤師会医薬情報部プレアボイド推進小委員会委員長
本講演では、東京都病院薬剤師会医薬情報部プレアボイド推進小委員会委員長より、「ヒヤリ・ハット報告」と「プレアボイド報告」の違い、プレアボイド報告の様式および報告手順に関する解説・紹介をいただきました。
また、平成12年からのプレアボイド報告件数の推移に関し、平成28年までは右肩上がりで、その後全体の報告件数は横ばいとなっているものの、従来からあった様式1及び2の件数は減少傾向にある一方で新たに追加された様式3の件数は増加傾向にあるといった状況に加え、所属施設におけるプレアボイド報告の現状について報告いただきました。
■特別講演1
『周術期領域におけるプレアボイド集計と医療安全への貢献』
聖路加国際病院 薬剤部 大森 崇行 先生
座長:イムス東京葛飾総合病院 亀村 大 先生
特別講演1では聖路加国際病院 薬剤部 大森 崇行 先生より、周術期を取り巻く状況の変化から周術期担当薬剤師として介入当初からのご苦労された経験談、そして現在の具体的な活動内容から医療安全への介入状況について、プレアボイド報告件数の推移を含め、具体的な事例を提示いただきわかりやすくご紹介いただきました。
また、現状を踏まえて、「次世代の育成」、「病棟担当-周術期担当間のさらなる連携」、「術後疼痛管理チームへの介入」、「患者満足度の向上」といった今後の課題と展望ついてお話しいただきました。
■特別講演2
『小児領域における薬学的アプローチ』
国立成育医療研究センター 薬剤部 丹沢 彩乃 先生
座長:明理会中央総合病院 遠藤 祐里佳 先生
特別講演2では国立成育医療研究センター 薬剤部 丹沢 彩乃 先生より、所属施設における病棟業務の変遷からシームレスな薬学的管理のための外来→入院→退院の各段階における薬剤師の取り組み、薬剤師による薬学的介入の可視化の必要性についてのお話から、具体的な介入方法ならびに病棟業務における薬学的介入事例の昨年4月からの件数の推移とその内訳、そして具体的なプレアボイド介入事例についてご紹介いただきました。
また、最後に本講演を通じてのTake Home Massageとして、
医薬品の適正使用のためには、個別化が必要であること。
小児では特に成長、発達、成熟、病態などを考慮すること。
情報が不足している小児領域では、薬剤師の介入が望まれていること。
『薬』だけに注目するのではなく、栄養状態も考慮する必要があること。
とのお話をいただきました。
■施設報告
座長:日本医科大学多摩永山病院 田杭 直哉 先生
1.慶應義塾大学病院 薬剤部 福田 正吾 先生
最初の施設報告は、慶應義塾大学病院 薬剤部 福田 正吾 先生より、小児病棟薬剤師の日常業務の流れからプレアボイドへの関わりについてご紹介いただきました。
小児病棟関連では各種(血液班、PICU栄養、NICU・GCU、臓器移植)の定時カンファレンスが開催されており、薬剤師もチーム医療の一員として参加し、治療方針の情報共有が行われる中で、プレアボイド介入のきっかけを得ることや実際の介入事例を提示いただき、プレアボイド報告状況も含め報告いただきました。
また、日々の業務を通じて、小児薬物療法に精通した薬剤師の育成が急務であり、小児プレアボイドをどのように広めていくかが課題であるといったお話をいただきました。
2.イムス東京葛飾総合病院 薬剤部 平沢 信也 先生
続いての施設報告は、イムス東京葛飾総合病院 薬剤部 平沢 信也 先生より、所属施設における周術期薬剤業務の主な活動内容ならびにICU専任薬剤師という立場から、術後疼痛管理と術後血糖コントロール不良患者へのプレアボイド介入事例をご紹介いただきました。
そして、介入事例から得られた課題として、術後疼痛管理においては、術中・術後早期からのアセトアミノフェン投与開始などのプロトコール作成や挿管患者の疼痛評価が、また、術後血糖コントロールにおいては、インスリンのスケール対応パターンの使い分けに対する理解や経験の少ないスケール対応方法の周知の必要性といったお話をいただきました。
■閉会挨拶
東京都病院薬剤師会医薬情報部プレアボイド推進小委員会委員長 村松 博 先生
プレアボイドフォーラム東京2023にご参加いただきありがとうございました。
今回のプレアボイドフォーラムでは、2022年診療報酬改定により注目されている、周術期領域、小児領域の最先端で業務を行っている先生方にプレアボイドを絡めてご講演をいただきました。
また、2つの施設の先生方からは各施設におけるプレアボイド事例のご報告をいただきました。
これらのご報告を聞くことにより、ご参加いただいた各御施設の参考になったのではないかと思います。
冒頭でお伝えしました通り、プレアボイド報告件数というのは伸び悩んでいる感じは致しますが、薬剤師業務は大変増えたこともあり、質の高い、患者に利益のあるプレアボイド報告に内容が変化しているのではないかと感じております。
今後も薬剤師の職能を発揮し、アピールするためにプレアボイド報告推進にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
皆様、今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。
以上、プレアボイド推進小委員会委員長 村松 博 先生からのご挨拶をもって閉会いたしました。
プレアボイドフォーラム東京2023
演者の皆様とプレアボイド推進小委員会委員
(記 南町田病院 前田 拓哉)
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